7月15日午後1時30分すぎ、新石垣空港を八重山3市町会がチャーターした「南風む便り」の第6便が離陸。八重山の産物や雑貨を満載に詰めて、羽田へ向け飛び立っていた。
この日の午前10時には、新石垣空港貨物ターミナルでパインアップルの入った段ボールが次々とコンテナに積まれていた。
航空機への積み込みは、バランスよい形で積まれなければならないために、それぞれ決められた積み込みが各コンテナで実施されていた。
この日は沖縄ヤマトが20台のコンテナに、ほぼすべてパイナップル・マンゴーが積み込まれ、沖縄空輸は一般貨物2台、大栄空輸は2台に車エビが、OAS航空には6台のパイナップル、ゴーヤやオクラで2台、車エビが1台と積まれて、日本郵便が3台でパイナップルがメインの積載。
計36台の満載状態で、チャーター便が羽田へ。機材はボーイング787-9で、機体番号は932A。
今回も八重山市町会がANAの機材でチャーター便を飛ばすもので、所定の運搬費用は荷主が支払うのは通常通り。
チャーターに関しては八重山市町会が費用を補填する形で、八重山市町会は政府の新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金(4月20日閣議決定:全国市町村限度額3530億円:沖縄の市町村限度額は55億4295万7000円)を活用して、緊急事態宣言は解除されたが、まだコロナウィルスの感染防止の観点で物流の減便が続いているため、八重山市町会の主導でチャーター便が続けられているもの。
第一弾は5月27日で本マグロや農産物が羽田に。送った本マグロの中にはコロナで低迷する景気の中、キロ1万円を超すものも出た。
第2弾では福岡経由で羽田行き。福岡へカジキを送り、豊洲に本マグロが本格輸送。マグロフライトと名付けられるチャーターとなっていた6月3日のフライト。
第3弾は6月10日に、伊丹経由と羽田行きで豊洲への本マグロ送りの最終便となった。
第4弾は7月1日で20日ぶり。八重山の7月と言えば、ハワイ種のパイナップル。これが本格的においしくなる旬突入で、この日にパインアップルフライトが始動。
第5弾が7月8日に新石垣空港を飛び立った。その日の空港展望台では、一般のスケジュールにない787便の石垣空港着陸に、航空ファンの観光客が気づいて熱心に撮影をする光景も見られ、そこは最新鋭B787型機。後から入ってきたB767型の爆音に驚かされもする、その整った静音ぶり。
8日のチャーター便は、コンテナの数はクロネコヤマトが20台、沖縄空輸1台、大栄空輸が1台、OAS航空が9台(パインが6台、野菜:ゴーヤ、オクラが2台、車エビが1台)、郵便局ユーパックが5台とほぼパインに占められる36台の満載。
この日は、初めて市議議員6名が視察に訪れ、チャーター便の積載現場に立ち寄っていた。
日本最南端の八重山諸島から、市町村が貨物専用便を飛び立たせることは、新型コロナが原因とは言え、快挙であるのは間違いない。
まず、羽田への貨物直行便に満載できる荷の存在も、30年前はなかったことを考えれば、農家や漁業者の奮闘あってのもの。歴史を感じる話がだ、この日の市議議員は東内原、我喜屋、長山、砥板、石川と若手ばかり。
緊急事態宣言解除後、本土観光客を島に入れはじめることで、感じる経済復帰も大事かもしれないが、それよりも、この地元産業の生産物の安定出荷の方が、よっぽど大事。そこに地元の足場があることを忘れてはいけない。
そして、第6弾の7月15日。
今後の羽田貨物チャーターは、台風襲来でパインアップル輸送難が発生した場合に急遽飛ばすぐらい。今、異常気象の影響からか、まったく台風発生の兆しがない。熱帯低気圧がたくさん発生していておかしくないのだが、このまま7月下旬に台風なしでいけば、パインアップルは順当に送られていくはず。県の補助で那覇便の臨時便もJTAで7月16日、17日、18日に飛ぶので、フォローされる予定。
パインアップル農家には、7月終わるまでが大事な期間。8月で酸味が強くなることで知られるハワイ種だけに、もうしばらく祈る気持ちが続くはず。
市町村によるチャーターのまさに偉業とも思えるチャーター。県の補助金で毎年、花卉が本土へチャーター貨物便を駆使していた。そんな配慮は、八重山のパイン農家から見れば、垂涎の的。今回、コロナ自粛の成り行きで、八重山で実現できた成果は記録の価値がある。
今回のこの経験は最南端八重山には実に重要である。
今後、またパイン出荷の繁忙期に、タイミングよく緊急な理由で飛べない機材が発生した場合は、かくなる貨物チャーター便の依頼を航空会社に打診できる。事例があればやりやすいはず。
(流杉一行)