PCR検査は、島内で実質稼働! 11日より回復プランで徐々に自粛の部分緩和

 5月8日、午後4時から第14回八重山地域新型コロナウィルス感染症対策本部会議が八重山合同庁舎2階大会議室で開催された。

 八重山地域の感染状況について、4人の感染者の内、入院中は一人で、入院勧告解除の人は3人であることが報告されたほか、連休中の相談件数についても公表されていた。

 この日の焦点は、PCR検査で、八重山病院で実施されている島津製作所のPCR検査キットの訓練内容が報告され、その検査の精度を上げるために、試験を繰り返して、沖縄本島の別のPCR検査との照合性を確認。

 篠崎裕子八重山病院長は、会議終了の後、記者の質問に「本格的な稼働とはいえないが、実質的稼働状況」にあることを明言。居合わせた中山義隆石垣市長は、来る11日の回復プランの前提条件であるPCR検査が実質的に可能である状況を確認。

 中山市長は「順次精度を上げる取り組みは続けるが、PCR検査の島内稼働は実質的に稼働しており、回復プランは予定通り実行する」と、述べていた。

 この日、市議会では午前10時に臨時議会を招集。石垣市新型コロナウィルス感染症等対策条例が成立している。

 その条例第5条では、「観光客等は国内において新型コロナウィルス感染症がまん延しているときは、市の要請に応じ、来訪を控えなければならない」と定め、やむを得ず来訪するときは、新型コロナウィルス感染症等の予防に努めるとともに、市が実施する対策に協力するよう努めなければならない。と、条例を盾に観光客の協力を引き出す形をつくることに、こぎつけた格好。

 発熱する観光客を空港で見つけても、どう検査に結びつけるか。その先どうなるか不安だった発熱移入者への島内PCR検査には、実質成功といえそうだ。

 今後、精度を上げて、本格稼働の局面に、一日も早くたどり着く方針とのこと。

 空港で熱探知装置の作動も、出口1台、入り口1台の状況にあるが、10日を過ぎれば、出口に設置した石垣市の熱探知装置を、入り口に回して、2台体制にもできると中山市長。

 空港で感染の可能性ある人をキャッチできれば、PCR検査の島内稼働の意義は大きいが、そこを逃してしまうと、また振り出しに戻ることになる。

 陽性患者が出た場合は、また感染拡大を警戒して島は自粛の嵐を巻き起こし、静寂に戻る。そして、もしクラスターが発生すれば即医療崩壊につながりかねない。

 医療崩壊は島の日常の既往症持つ患者を窮地に追いやり、かつまた目に見えない感染の恐怖の下、経済の停滞を繰り返してしまう。

 いわば、空港での熱検知および、感染可能性ある人の発見こそ、最大の課題といえる。戦いは続くのである。

 目下、全世界を震撼させた2002年11月のSARSは2003年7月で終息したが、2012年9月のMRESは未だに終息していない。そこにきた2019年COVID(新型コロナウィルス)は、果たして2020年に終息し得るのか。

 11日からはじまる回復へ向けた自粛緩和が、そのまま2019年夏の状況に戻れるものではなさそうだ。

 中国も韓国もMERSで手痛い被害を経験していたからこそ、今回の素早い経済回復へ舵を切れた。

 将来、日本の経済体質には、感染症の危機にはメリハリのきいたこれまでにない厳しい措置を受け入れる形が、必要とならないか。もちろん、罰則で縛ればいいというものでもない。

 石垣市民も、COVID(新型コロナウィルス)が起こる前に戻ることだけを望むのではなく、今一度、二度とこのような事態が起こらないよう、島の側からどんな島にするか再考することが大切では。
 

 (流杉一行)

この記事をシェアする