回復プランはPCR検査の島内実現大前提で

 5月6日午後5時から石垣市役所2階第1第2会議室で中山義隆石垣市長による「石垣市新型コロナショックからの回復プラン」が発表された。
 ゴールデンウィーク最終日のこの日、市長は4人目の感染者が発生した4月25日から起算して2週間後となる5月9日時点で新たな感染発生がなければ、市内における感染者はないとして、市立小中学校の始業式を5月11日にすると言明。

 観光客や業務上の移入者等に対し、水際対策、経過観察を実施。市民の島外移動の自粛や経過観察も徹底することで、新たな感染者の早期発見とクラスター発生を抑止しながら、11日以降、市民生活を正常に戻すことを、徐々にはじめると述べた。

 11日以降も、国の緊急事態宣言は継続しており、県が示す休止要請に従いながらも、このプランで条件を付与し、これを守って徐々に市民生活を取り戻しましょうと、呼びかけていた。

 プランの説明冒頭、PCR検査が島内で実施できる体制を整えることに触れ、「即日検体採取・検査と当日中の結果発表」と、前回2時間で陽性か陰性かが判明するとした件は後退。PCR検査が5月7日に実現との話も、八重山病院との調整で時間が必要となった模様。

 全国での医療現場のひっ迫した状況から、最南端でマンパワー不足のしわ寄せがあっておかしくない事情が、予測できる。
 小中学校では授業実施で対外活動を自粛。市内保育所、認定こども園、学童、子どもの居場所も同様の扱いとなる。

 このほか、市民と事業者へ皆様のお願いとして条件を提示。

 まず、市民へ三密(密閉・密集・密接)を避けること。例を出して、同居家族との飲食を除き、4から5名以上を目安とした多数での飲食を控えるとした。

 また、手洗い、うがい、消毒、マスク着用などの感染予防を徹底する。飲食や買い物はテイクアウトやデリバリーの利活用にも触れていた。

 島外への移動は基本的に自粛で、やむをえない事情の場合は、帰島後は2週間の自宅待機。仕事で島外の人と接したら、自主的に検温をする。特に子供が一緒であれば、学校への登校はせず、同様に2週間を自宅待機。

 同居家族が島外へ移動した場合は、大人家族も同居児童も2週間の自宅待機の上、毎日の検温を実施。発熱、咳、嗅覚・味覚異常の新型コロナウィルス感染症が疑われる症状があった場合、同居児童生徒は出校停止とする。

 事業者に向けての条件は、事業所での従業員マスクを着用し、3密をさけての営業を実施。地元客と観光客との混在を避ける手立てをとること。例としては、隔日で地元客、観光客の制限をするなど。

 テレワークやオンライン会議など、インターネットを利用して接触機会を削減する。
 
 なかでも飲食事業、宿泊事業については、特別な事項を推奨。

 飲食事業では、同居家族を除く多人数(4名から5名以上目安)での入店を規制。地元客と観光客の混在も避け、時短の営業。食堂や居酒屋などの飲食業者には、テイクアウトやデリバリーを。

 宿泊業へは一週間以上の長期滞在の観光客に限り宿泊を受け入れるもの。宿泊客が新型コロナウィルス感染者だった場合、島内感染拡大阻止のために迅速な対応が、短期滞在者の場合は、島外に出てから判明すると、接触者の判明ができなくなる。長期であれば迅速な対応が可能となる。

  また宿泊施設には、宿泊客の毎日の検温と健康状態の確認の徹底を条件とする。宿泊客に発熱、咳、嗅覚・味覚異常などの新型コロナウィルス感染が疑われる症状があった場合、宿泊客を自室で待機させて、速やかに八重山保健所に連絡し、PCR検査実施。結果が出るまで外出自粛をお願いする。

 これらの条件を守って、経済活動および市民活動を徐々に戻してほしいと、市長は発表。

 あくまで、島内PCR検査が島内で可能となることが大前提で、5月11日からの回復プランであることを繰り返していた。

 まだ、PCR検査が稼働している発表は、八重山病院からはないとのこと。7日からずれ込むことも考えられる模様。11日までに稼働しなければ、まずはじまらないプランとなる模様。

 まだ、世界は感染拡大の最中で、日本も主要都市では収まる気配が見えない。離島の離島である八重山が、4人目の感染者から14日経つ5月10日が過ぎれば、自粛を徐々に緩めることで、果たして大丈夫なのか。
 感染した来島者をどう見つけ、どうとどめて、検査に導き、陽性が出た後の経路聞き取り役も、多数必要になれば大丈夫か。

 万が一にも、感染者を島に入れ、感染者の増加を招けば、離島ゆえ一瞬にして医療崩壊を招き、感染拡大に加えて、通常の医療業務への影響も計り知れないものがある。

 しかし、経済活動の停滞が続きすぎることへの不安も増大しており、まさに板挟みである。

 感染者が発生した場合の、市民への自粛状態への即座の復帰対応も、呼びかける必要が色濃くあるのが、感染力の高い新型コロナウィルスとの対決の要にも思える。
 まずは11日に備えるということか。
 
 なお、11日以降も、沖縄県が基本的に休止を要請する遊興施設、大学・学習・塾、運動・遊戯施設、劇場、集会・展示施設、商業施設は、石垣市も準じていくもので、11日以降に回復へ向け、大きく変わる気配は、実際のところないのが実情。


 
 (流杉一行)
 

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