8月1日、自給のための米作りを目指す石垣島の市民グループ「石垣島田んぼの会」(笹村 出代表)が、今年6月から約2ヶ月かけて準備をしてきた名蔵シーラ原田んぼ(1反4畝)の田植えを行った。田植えには子どもから大人まで総勢約30人が参加。日本人として、大半の人がほぼ毎日食べているであろうお米。お米の自給に興味のある人が石垣島にはたくさん居るということがうかがえる。現在ではおおよそ機械による田植えが主流だが、今回「石垣島田んぼの会」では昔ながらの手植えの田植えが行われた。
田植えに向けて育苗してから3週間目の7月21日には、大型台風6号が先島諸島に接近した。数日間暴風雨が続き、石垣島では最高週間風速37.4m/sを記録した。潮風にもさらされ、苗が泥で埋もれた部分もあり心配したが、幸い大きな被害はなかった。田植えの2日前の7月30日には田んぼの会のメンバー10人が参加して、苗を育ててきた苗代から稲の苗を抜いて田植えの準備をする「苗取り」を行った。取った苗は田植えまで、田んぼのそばにある川の中に置いておく。しかし、苗を置いた川は以前はかなり水が流れていたのに、今は水がほとんど流れなくなってしまった。近くにある名蔵ダムからの水の調整で、水量が変わるようだ。田植えの時期に水が無いということは非常に心配な事態であるが、育苗してから4週間を経ていよいよ田植え本番を迎えた。
集まった参加者の大半は初めて体験する田植えだったが、今回も有機のイネ作り33年の笹村さんが植え方を丁寧に説明してくれた。
前日には田植えに備えて線引きもされていて、田んぼには苗を植える目印となるようきれいに線が引かれている。線引きする道具は前回、転馬車(ころばしゃ)を作ってくれた干川さんの手作りだ。
植え方の説明が終わると、参加者はそれぞれ苗を持ちやすい大きさに分けて持ち、いよいよ田んぼに入っていく。苗は一本植えで、親指、人差し指、中指で摘まむようにもって浅めに土の中へ植えるのがポイントだ。慣れない田植えで時間がかかるうえに、田んぼには水が貼っていないので手が泥だらになってしまう。特に石垣島の田んぼの土は、手に粘り着き粘土質が強いようだ。
それでも懸命に作業を進め、田んぼに新しい命を植えていく。
子ども達も一生懸命泥と格闘しながらも楽しそう。大人も大自然の中で子供にかえってるかのように楽しみながら田植えを進めていく。
途中、自分の苗がなくなると、前後の人から分けてもらったりしながら作業を進め、いつの間にか声をかけ合って協力する雰囲気が自然と生まれていた。何気ない会話からも笑いがあふれ初対面でも一気に距離が縮まってい行くようだ。
朝9時から始めた田植えは、休憩を含め午後2時くらいに終わった。雨予報だったが、結果は降らなかった。水は川から電動ポンプを使ってあげることにしたが、川には水が少なく、田んぼ全体に水が広がるまでには至らなかった。このあと週間天気予報では雨の日が続く予定だ。雨が降って田んぼを潤してほしいものだ。
また、田んぼに繁殖し、稲を食い荒らしてしまう恐れのある害虫のジャンボタニシの駆除も必要だ。そして、8月4日に発生した台風9号の動向も気になるところだ。田植えを終えても収穫までまだまだ課題はたくさんあるだろう。
しかし、この日田植えに参加した人は、土や作物たちと触れ合うことでかけがえのない貴重な体験ができたことは間違いない。
これまでの「石垣島田んぼの会」の活動の様子はやいまニュース、スタッフ通信からご覧いただけます。
(編集部Ma)