自衛隊石垣駐屯地公開 やいまDAY2023に約1700人

 10月7日午前10時から防衛省自衛隊石垣駐屯地で「石垣駐屯地やいまDAY2023」と銘打って、地域住民への理解拡大を図るイベントが開催された。

 10時開催の前に、9時30分から報道公開記者説明が行われ、マスコミに実施内容を説明。イベント全般を駐屯地司令、隊員、招待者、一般見学者、そして報道記者の取材場所と時間が説明され、通行止めや動きの制約を説明したあと、儀仗(ぎじょう)広場で取材が許可された。

 儀仗広場のそばのテントには、この日来場した招待者および一般見学者約1700人が集まり、訓練展示を見学。

 訓練展示は、空砲で3種の銃の射撃を披露。また島嶼防衛の展示訓練では、島に敵艦艇の報を受けて、索敵をレーダーで実施。

 レーダーを積んだ車両の水平をとる作業から、正確な位置をとらえ、攻撃に向け正確なミサイル発射のための計算作業車両と、ミサイル車両が登場。ミサイル搭載筒が上空に向けられるなどして、大がかりに稼働するミサイルのシステムを披露していた。艦艇への攻撃から、一部の敵兵の上陸を想定。小型ミサイルやレンジャーによる情報収集など、自衛隊員の訓練の様子を展示用に披露して、来場者に自衛隊への理解を図っていた。

 今回、無料で自衛隊員がつくるカレーの体験喫食があり、来場者は興味津々で自衛隊員のつくるカレーに舌鼓を打っていた。(自衛隊各部隊で伝統の味があるとされる。石垣駐屯地はできたてで、まだそこまでいかないとのこと)

 このほか、家族で訪れた子どもたち用にちびっこ広場、体験試乗なども用意されたほか、音楽演奏、ビデオ放映などのほか、キッチンカーも出て、会場はお祭り気分。石垣駐屯地は意外な空気を見せて、自衛隊のイメージをやわらげることに、尽力。各会場では連れてきた子供とともに楽しい時間を過ごす家族が多く見られた。
 
 主催者である石垣駐屯地の井上司令が挨拶冒頭で八重山方言を披露したり、体育館での器楽演奏でも地元ユニットのきいやま商店の曲「ドマンギテ」や沖縄本島のスーパーで知られるユニオンのコマーシャルソング「ユニオン」を演奏するなど、地元色、沖縄色を濃厚に取り入れて会場を沸かせていた。
 
 ただ、気になったのは一般来場者に本土移住者らしき人が多く、方言を解せる世代が見かけるのはかなりの少数。むしろ島への移住者の数の多さを、このイベントで教えられた感は少なくない。これも島の現実なのかも。

 島の海岸沿いの一帯は、市街地を除いてほとんど道なき道であり、車両が入れる場所はない。かくなる場所で、対艦攻略は、厳しいものを感じた。風があり、台風の時期があり、人の入らない場所にはハブが控える。大きな岩がある場所、突如現れる地表の割れ目、ツルが生い茂り、地政に詳しい人がいなければ、道なき道での移動は難しい。ましてや巨大な自衛隊の車両だ。加えてそこに各機材・各車両が水平をとる微調整がかならず必要となることを考えると、高度な人間的な勘を磨き上げる必要があることを知らされた。

 先島での自衛隊の駐屯地設置で、各島で住民の分断を招くような事態を生む政府のやりかたは、どこかに間違いがあるのを感じる。先島は米軍基地がないため、騒音に苦しむ沖縄本島とは違う空気がある。にもかかわらす、島の自治を後退させる事態を生み出している。
 今回の駐屯地公開では、なにより目立ったのは移住者が大多数の来場者。駐屯地設置のごたごたは、八重山に赴任する現場サイドの自衛官には、迷惑なこの上ない「お上」の事情。上司のへまの穴埋めをさせられる経験があれば、同情の余地がある。
 
 駐屯地建設に反対する市民も、税金で建てる駐屯地を見ておくのは国民の義務。そのチャンスを組織防衛にしか使わないのは、どうなのか。
 仲間への受けにしか関心を持たなくなるのは、本来、腐った独裁的な保守勢力。多くの賛同者を求めるなら、仲間への向かってとる言動ではなく、現場に足を入れ、今の時点で何が必要かを一緒に考え、新しい風を起こすこと。

 防衛という行為は、武器があれば、たやすく叶うものでないのが、それらの機材を見るだけでも、わかってくるというもの。戦争を防ぐには、まず敵相手を殺さず、自衛隊も犠牲ならないようにすること。


(流杉一行)

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