命と暮らしを守るオバーたちの会へ本土の有志が応援の寄せ書き20枚を寄贈

 2月7日午後1時半から大浜信泉記念館研修Ⅰで、暮らしを守るオバーたちの会の世話人の山里節子さん(85)へ、宮城県や京都府、東京都など、本土各地の有志が持ち寄った同会支援の寄せ書きが贈られた。

 この日、この寄せ書き贈呈のきっかけとなったのは、宮城県から参加の木村理恵さんで、仙台高裁で子ども被ばく補償訴訟を争った時、関心を寄せてもらったことがきっかけの5人へ、石垣島での命と暮らしを守るオバーたちの会を紹介したところ、賛同してもらい、かつ応援の寄せ書きまでしてもらったことで、それでは皆で私に行こうと話がまとまり、今回の贈呈となったもの。

 冒頭、挨拶に立った佐藤さんは、
「私たち6人は、宮城、京都、滋賀、東京、大阪とそれぞれ別々に暮らしています。はじめから6人で旅を計画したのではなく、それぞれがそれぞれの場所でいろいろごちゃごちゃやっているうちに、「石垣に行くの?」「仲間に入れて」と、つながって6人のメンバーになりました。石垣に来るのが初めての人も居れば、2回目、3回目、3年間暮らした人など、私たちに共通しているものがあるとすれば、石垣島が、琉球弧の島々が、驚くほどの速さで、自衛隊の基地拡張やミサイル基地の拡張に直面していることを、ヤマトの住民として申し訳なさと痛みを、持っているところです。
 そこで暮らす人々のおひとりおひとりのことを思うと、不信や分断の矢面に立たされているのは「民」(たみ)であること、指示を飛ばすだけの為政者は、今も昔も民の命を一顧だにしていない事です。
 今回お持ちした寄せ書きは、20枚あり、小さな子ども達から89歳のかつて震災孤児だったご老人まで、ひとりひとりの平和の願いが詰まっています。
 大阪の堀越さんの言葉を借りてお伝えします。心ある人々の代理で出来ました。『申し訳ない、ごめんなさい、すまねぇ、もうしわけねぇ』の気持ちを根底に持ちつつ、共に未来を創造する祈りを担いだ運び屋さんが私たちです。3泊4日の短い旅ですけど、一日一日、この時を大切にして、それぞれの場所に戻った時に、寄せ書きをしてくださった人たちに、石垣島のこと、山里節子さんのこと、たくさんの人のことを、できるだけお伝えしたいと思っています。」
と、述べていた。

「皆さんのもったいない言葉、ありがとうございました」と応えた山里節子さんは、
 「すまない、もしわけないという言葉がありました。この問題は単に石垣島だけでなく、沖縄だけでなく、日本全国だけでなく、ひいては東アジア全域が危機に晒されていると思うんですね」と次いで、

「その重たい元凶となるところに、アメリカがあると、私たちはとらえています。中東を引き上げて、今度は矛先を、南西諸島や中国へ向けた。ソ連が崩壊した時、アメリカは新たな戦略構想を10年刻みで立てるわけですよね。ジョイントビジョンという名のもとに、ジョイントビジョン2010、2020、2030、2040と、2040まで掲げて、何を持ってジョイントというかといえば、太平洋権益に配備されている陸海空軍の海兵隊の軍隊、そういう4つの部隊を統合させて、戦力を強化し、殺傷能力を強めて、常に10万規模の米軍をアジア太平洋に駐留させ、向こう100年に及んで占拠していく。それが2020年が終わらないうちに、トランプの時代に新たな部隊をつくっていくんですよね。宇宙部隊という。日本は、2022年に立ち上げる予定にしていたのですが、トランプは2019年に、そして日本も配備しちゃった。この石垣島でも土地が確保され、すでに測量済みです。」
と、見えないところで進展する事態を披露。
 また、「今日降りてこられた空港滑走路のそばにカラ岳という山があります。その北側に宇宙部隊の空間が確保されています。南側と滑走路の間には、ヘリ部隊という風にして、陸上自衛隊は3月の中旬に予定している。それが済んだら海上自衛隊が来る。人工島に来る。人工島は米軍が、復帰前に1961年の頃に手掛けて、復帰まで掘り進めているんですよね。復帰の年に米軍から日本政府に移管され、そして日本政府が着々と人工島を完成させました。
  平和の話には、1945年終戦までの話で終るのが通常多いと思いますが、私は終戦から復帰までのアメリカ軍統治下の間に何があったかを、調べてきています。」
 こう述べた後も、本土からきた伊藤さん、堀越さん、木村さんら6人へ山里節子さんは、自身の体験談を詳しく述べ、これまで米軍がやってきたことを自身が見た中で披露した。

 石垣島が米軍から終戦後以降、ずっとねらわれてきた事実となることは、米国の実施した地質調査に山里さんが加わった体験談から明確になる模様で、山里さんは石垣島での作業のだけでなく、東京で詳しく地名などを記す作業もすることとなり、何も知らず協力させられていたことを憤慨していた。

 というのも、山里節子さんが、この時の調査結果が、のちに加わった新石垣空港の白保の海での海上建設反対運動で、空港の立地の根拠に、利用されていることを知り、大きなショックを受けることとなる。

 この後も、石垣島で大規模土地改良などでも、利用されていることを知ったほか、ダム建設など、大規模工事が起こるたびにその調査が利用され、そのことで石垣島の自然が日に日に失われていく。その悲しみを痛感した日々を、集まった6人に伝え、山里さんが率いる会が、石垣島の自然を守るために取り組んでいることを披露。このほか、調査で明らかになった地図を見せて、米軍がずいぶんまえから、この島を蹂躙する気持ちがあったことを示すなどしていた。

 記者は、思う。

 この地質調査が行われていた実態が、日本国民および日本政府に詳しく報告されているか否かは、同盟関係に大きく影響してくる可能性を感じる。ひいてはもしも日本全土が米軍によって秘密裏に地質調査がおこなわれているなど、想起すると恐ろしい。こういった嫌疑は、将来において生まれないとも限らない。ないことは、しっかり表明し、あるなら早く表明すべきではないか。日本が米国本土で地質調査を実施することなどあり得るわけもない。同盟とは、どういう関係かを、鮮明にしたいとする国民が、これから出てくることが考えられる。

 日本人は、米国合衆国の大統領の声はニュースでよく聞くが、連邦議会の声はまったくニュースにはならない。そして、連邦政府と連邦議会は完全に分離され、日本のようにはない。閣議決定で有事にかからる3文書を決められるような安っぽい国家決定の仕方を許す国民を、同盟関係の合衆国連邦議会はどう見るか。そこへの同盟関係をどう見るか。有事の決定をどう下すか。
 
 現代は、つぶやきで政治勢力を生み出す手法を、不問にしてきた。それも民主主義だと。恥ずべきことを見失えば、落ちてくるお金に食らいつく習性が蔓延する。野獣に似てくる。まさに、そこに落ちた声がヘイトスピーチ。彼らは生臭い吐息も気にならないはず。

 いわば、隣人への尊重と、自らの尊厳を失った非サピエンスである。現代は、そういう彼らと共に、平和論議をしなければならない。
 判断を誤らないために、確認をしなければならないことがある。

 真剣に考える段階に来ている。

 今回、勇気ある表明に驚くと共に、ひとりで背負いこんできた山里節子さんに、心より敬意を表したい。

 
 (流杉一行)

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