大浜でイタシキバラ オーセ御嶽

 9月3日、午後7時半から石垣市大浜のオーセ御嶽で、大浜獅子・棒保存会によるイタシキバラが開催された。

 旧盆の送りの日の次の日に行われるのがイタシキバラで、獅子舞で祖霊と共に来訪した無縁仏の霊を払うのが目的とされる行事。

一般に、この日は3日間のお盆行事に多忙を極めた婦人らの労をねぎらうため、ゆっくり休んでもらう日ともされている。大浜では慰労を目的に盆踊りを獅子舞の前後に催すなどしてきた。

 この日、新型コロナウィルス対策として3密を防ぐべく、イタシキバラは縮小開催とし、盆踊りは行われなかった。獅子舞の会場は例年開催する崎原公園ではなく、オーセ御嶽での実施となった。

 密集せず静かにオーセ御嶽に集まった保存会の面々は準備をして待つこと数分。車にさっと現れた白装束の人々が、御拝所の前で円陣を組んで集合。

 円の中心に陣取る古謡の歌い手が、笛とドラにのって念仏歌ヒヤルガヤッサイがうたわれ、厳かな空気があたりに漂った。

「ヒヤルガヤッサイ」と、踊りながら掛け声をあげるのは円陣の選ばれた15人。

 小規模ながらオーセ御嶽の前とあって、ギャラリーの多い雰囲気では感じられない重々しいイタシキバラとなっていた。

 塩によるお清めの後、さっそく獅子が「しーし、しーし」の呼び声とともに登場。

 暗いせいか、ひときわ大きく感じる獅子が御嶽を練り歩き、躍動感ある雄姿を見せた。2体が見せる御拝所への祈願も見事に揃っていた。

 静寂を破る激しいドラが鳴り、獅子の暴れるシーンでは、ギャラリーがないため噛みつく相手がないままで、激しく暴れるしかなく、そこは少々寂しいところ。

「コロナ禍の下、縮小のイタシキバラは、本当に残念です」とは、関係者の声。

 秋に向け、感染が危ぶまれる中、獅子舞に新型コロナの浄化も望みたいところだが・・・。

 人の活動すべてが縮小あるいは中止を余儀なくされる強敵コロナ。あらゆる行事をどう対策するか。ウイズ コロナが模索される。

(流杉一行)



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