いしゃなぎら青年会のアンガマ 外山田避難地で

 旧盆の中日の9月1日、午後6時半から石垣市外山田(フカヤマダ)の林道公園内の東屋前の駐車場で、いしゃなぎら青年会(内原英彦会長)主催のアンガマが行われた。

 毎年、八重山の旧盆では、各青年会や各伝統保存会によるアンガマや獅子舞、エイサーなどの伝統行事が行われるが、今年は新型コロナウィルスの感染を防ぐため中止となった地域がほとんど。車で旧盆行事の音楽を鳴らすだけにして、三密を避けて、旧盆の雰囲気をつくっている。

 字石垣も、いしゃなぎら青年会は中止と決め、アンガマはしないとしたが、伝統芸能の継承のため模索する中、今年は戦後75年の節目を迎えたことから、マラリアで犠牲になった先祖供養のために、戦中の字石垣住民の強制疎開先である外山田で、一度だけアンガマを実施することを決定。この日の開催となった。

 出来る限り、三密を防ぐために、一般には知らせないまま実施され、午後6時半から夕暮れにかけて、前勢岳の麓の林道公園で開催された。

 この日、午後6時から続々と、いしゃなぎら青年会とその先輩らが林道公園の駐車場に集まってきた。

 ブルーシートが敷かれて、その駐車場から見下ろせる元避難場所となる林一帯に向かって香炉を供え、準備万端。簡単に打ち合わせが行われた後、三線と太鼓がなり出せば、1年ぶりの旧盆のアンガマがスタート。

 ウシュマイとンミーと3人のファーマーの一行が高い声で奇声を発して登場。さっそくウシュマイとンミーが、焼香をはじめて、「ウートートー」と石垣方言で口上が述べられた。

 この外山田の地は、戦時中から戦後にかけて字石垣の住民1000人以上が犠牲になる原因となった日本軍が指定した強制疎開先で、口上でウシュマイは、この地で起こったことや、犠牲になった人々の上に今日の世果報および平和な暮らしがあることを忘れず、祖先に感謝することの大切さを述べていた。

 またコロナウィルスの感染拡大が終息することも、いっしょに祈願していた。

 口上の後は、無蔵念仏、いしゃなぎら口説き、山崎のアブジャマーの3曲が披露されていた。

 いしゃなぎら青年会の内原英彦(えいげん)会長は「コロナでアンガマが中止となり、それでも伝統芸能の継承を考えていました。今年は戦後75年の節目であることから、字石垣の強制疎開先だったマラリア有病地帯の外山田での供養をアンガマでしたらどうかと考え、今回実行しました。実際、この場所でやってみて、よかったと感じました。」


 勢ぞろいして、晴れやか気持ちで並んだいしゃなぎら青年会とそのOBらの面々。

 実は、字石垣の石垣公民館は、今年、戦後75年の節目に石垣住民が強制疎開させられた場所への疎開体験を8月16日に「石垣住民避難地追体験(外山田避難体験)」と題して実施している。今回のアンガマは、これがきっかけとなっている模様。

(流杉一行)

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