10月20日午前11時50分、八重山漁協のある新栄漁港船着き場で新造船「百波丸(もなまる)」(王滝貴船長)の進水祝賀の「餅まき」がおこなわれ、友人知人や多くの関係者が子どもらを連れて集まり、進水を祝っていた。
この日、午前10時40分頃、新栄漁港で長崎の造船所から持参した15mもある竹3本と島の竹3本の計6本の竹を立て、そこに寄贈された20の大漁旗をくくり飾り付けをしたあと、まず祈願に出航。冨埼観音堂の沖で3回海を周回して、安全航海と大漁を祈願したあと、新栄漁港に帰還。接岸と同時にお祝いに集まった人々へ餅まきを実施した。
新造船の主は、王滝貴さん(32)。ウミンチュ歴15年で、10年間ボートで電灯潜りに従事。5年前からは中古の2・5トンの漁船でセーイカ漁とマグロ漁を経て、今回、11トンの新造船を購入。「夢の新造船です」と、王滝さんはうれしそうに船を紹介した。
船の名前は3歳の娘の名前からで、これまでの船も長男の名をつけた「皇丸」(長男は王滝皇くん)と、子煩悩な王滝貴さんだ。
「多くの先輩からアドバイスを頂きました。感謝しています。使い勝手のよいものにするため5回も設計を変更して、予定より1年完成が伸びたのですが、おかげでいい船になったと思います。沖縄本島にも行って、船を見てきました。そこでは多くの船が冷凍庫を積んでいて、勉強になりました。これまで使ったことのない大きな船ですから、漁の仕方も変わりますし、先輩たちのアドバイスに助けられています。」
と、漁師の先輩らに大いに感謝していた。お祝いに贈られた大漁旗もたくさん集まり、船には20本の大漁旗が風になびいて、その華やかに進水を祝っていた。
この日、船名である3歳の百波ちゃんも母親の綾さん(27)に抱かれて登場。自分の名前のついた船が生まれたことを「うれしい」と小さく可愛い声ではっきりと話したのが印象的だった。
(流杉一行)