節祭・結願祭シーズン

 八重山では秋になると節祭、結願祭、種子取祭など、農耕儀礼の締めくくりあるいは願いの総決算、農耕儀礼の出発点を意味する行事が始まり、次年の1月にも開催する集落があるほど、五穀豊穣を神に感謝して来夏世の豊年満作を祈願する季節。

 古来から伝えられおり、各村々・各離島で実施されている。2020年のコロナ禍により中止あるいは制限をしつつ実施してきた辛い3年間から、今年は4年ぶりの制限なしの開催状況がこの秋に生まれている。

 10月9日は国の無形民俗文化財の西表島の節祭が、西表島西部の祖納と干立の2つの集落で実施されている。同日、小浜島でも国の無形民俗文化財の小浜島結願祭が実施され、コロナ禍から解放された今期は、連休最終日と重なり、晴天にも恵まれて、充実した開催となっていた。

 小浜島の北にある嘉保根御嶽では朝から北村のミルクの座マールと呼ばれる入場からスタート。太鼓隊、獅子の登場が行なわれたあとは、次に南村の福禄寿も同様に太鼓隊と獅子が登場。その後は北村と南村がそれぞれ棒を奉納していた。

 これら御嶽の庭の芸能が終わると、庭は6m四方の舞台が組まれ、結願祭で華やかな演目が多彩に実施される奉納芸能が始まった。

 舞台にミルクが登場してゆったりと麗しい姿を周囲に見せたあと、御前風から芸能が展開。南村の福禄寿の登場後も同様に赤馬節から奉納芸能が披露された。

 このあとは、また北村から御前風から初番と呼ばれる狂言が加わり、独特な八重山方言での言葉のゆったりした抑揚がはじまる。南村からのかぎやで風から狂言では、沖縄本島の方言で繰り出されるまた違った抑揚が、小浜島の結願祭のある種の歴史上の謎を感じさせる。そう、南村は後からできた村であり、そこからの狂言演目が沖縄本島の方言でできている謎。

 演目は初番の北と南の演目あと、ぶーぴき、カンザク狂言、かしかき、稲まづん、天伽那志、はぴらなど、見ごたえある演目続々続いて、会場は大いに盛り上がっていた。


 (流杉一行)

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