サメ駆除 重量計測不能な500キロ越えも3頭

 9月11日、午後2時から八重山漁協の本庁がある石垣漁港の荷捌き場に駆除されたサメが続々水揚げされた。
 これは令和5年漁業再生支援事業の一貫で実施されるサメ駆除で八重山の漁師でなる一本釣り研究会(上間康弘会長)と電灯潜り研究会(玉城勇三会長)、カゴ網研究会(金城茂正会長)の3団体合同で毎年実施されているもの。

 獲った魚を奪われたり、道具を破壊され失うことが多いため実施してきたもので、さかのぼると石垣市に水産課が設置された昭和52年(1979年)に、初めて漁師が協力してサメ駆除を実施。それ以来続けてきたもの。八重山で漁師を続けるにはこのサメが40年以上前から深刻な大問題となっている。

 この日、3研究会が、海へ向け出港。114名の漁師による25隻が。各々必要とされる海域でサメをとらえる仕掛けを設置。一本釣り研究会が12隻。電灯潜り研究会が10隻、カゴ網研究会が3隻、計25隻の内訳で、そのうちの6隻がこの日駆除したサメを運んできた。

 この日は40頭を駆除。なかでも計量可能だった450キロ、長さ350センチに加え、それを上回るサメが3頭も捕獲され、長さは370センチが2頭、380センチが1頭と計測不能なサメが次々集まったギャラリーを驚かせていた。

 この日、一本釣り研究会の上間康弘会長(58)は「アカマチなどの水深200mから300mの深い海から釣りあげている最中に、サメに獲物を奪われるだけでなく、道具も持ち去られる被害は、漁師には経済的に厳しい」と、サメによる被害の実態を話した。

 最近は深い海だけではなく、海水面をウロウロするサメが増えてきて、船に上げる直前に魚を奪われたり、道具を持ち去られたりと、これまで少なかった被害も増えているという。

 「サメ駆除をやった直後の2・3か月は、サメ被害が減るが、やがてまた戻ってしまう。年に一度ではなく、増やしてほしい」と、被害の深刻さを述べていた。

 12日は続々仕掛けにかかったサメが続々釣りあげられてくる予定。

 この日は、毎年サメの皮を利用した財布などの小物を製作するカフーカ(CAFOOCA)の金城立磨氏も従業員とともに沖縄本島から来島。サメの皮をとるだけでなく、サメの肉を無駄にしないよう、肉はペットフードにするほか、豚のエサにするために、丁寧に皮から肉をはがしていた。

 この日、カフーカは近隣の新川小学校の4年生にサメの解体作業を見せながら、サメの有効利用を説く授業を実施。実物のサメを前に、興味津々の児童らがタブレット片手に状況を撮影。一人一台当てがわれる電子機器を利用して、実物のサメの肉と格闘する状況を学習していた。

 カフーカの金城立磨社長は「沖縄本島で動画をつかっての授業はよくやっていますが、生のサメ駆除現場での授業は、これが初めて。子供たちの目の輝きにびっくりしました。」と、生の教材がもつ子供たちへのインパクトの凄さを語っていた。


 
 (流杉一行)

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