大きな目的は1970年台の海に再生 第32回石西礁湖自然再生協議会

 9月22日午後1時から沖縄県合同庁舎2階大会堂で第32回石西礁湖自然再生協議会が開催され、約40人の参加者が石西礁湖の再生について話し合いを深めていた。

 会場に来た人以外にオンラインでの参加者も20人以上いて、多くの英知を結集する形での開催となっていた。(音響や接続での不祥事もあって、課題は残ったが・・・)

 新規加入を希望する3団体が承認され、推薦者の声や承認団体の挨拶などがおこなわれた。

 とぅどぅまりの浜と呼ばれる神聖な浜にホテル建設が持ち上がり、石垣金星氏ら地元有志や全国的な支援者らが、建設反対運動を展開。地元と大きくもめながら、沖縄各地でリゾート施設を展開するユニマットが竹富町の支援の下で、西表島にはじめて建設したホテルで、今はイメージをがらりと変え、星野グループが運営する西表島ホテルが加入。

 島の山に設置した給水塔から畑のスプリンクラーに水を送水する膨大なシステムを構築した奇跡的かんがい施設を保守する、内閣府の機関である沖縄総合事務局の石垣島農業水利事業所。水が届かないエリアや道路に撒く無駄など、問題は沸騰した土地改良区をサポートする機関。干ばつの時の最後の救いの手が、サンゴの再生に協力することになる。山岳部での工事を赤土流出なく実行する自信がある模様。

 高校生を会長にして立ち上げたことで注目を浴びた八重山ローカルSDGs推進協議会。サンゴ礁の保全に向けて、活動を独自に開始中の模様。

 この3団体が加入して、石西礁湖の再生に、なお一層力がそそがれることとなる模様。

 このあと石垣市役所がサンゴ保全を目的に課長クラスを横に連携させたチームを紹介され、石垣市が全面的にサンゴ保全に力を注ぐ取り組みがはじまったことを説明。ただ、はじまったばかりで、計画はこれからとのこと。シン・サンゴレンジャーの結成と不思議な話が加わって、どこまで真面目な話かわからなくなる空気も・・・。一般に知名度薄い石西礁湖だけに、真剣に人寄せパンダもほしいところなのかも。

 次に7回目を迎えた海域・陸域対策部会、普及啓発・適正部会、学術調査部会の3部会での活動報告がおこなわれた。作業チーム、ワーキンググループの取り組みが紹介された。

 学術調査部会作業チーム、陸域負荷対策ワーキンググループ、漁場再生ワーキンググループ、八重山のサンゴ礁を守り育むフレンドシップワーキンググループがそれぞれ発表。

 またパラオ国際サンゴ礁センターとのやり取りを実現。費用対効果の高さを実感するサンゴの再生道具の紹介の後、今回加盟を承認されたばかりの八重山ローカルSDGs推進協議会が、その活動取り組みを紹介。ローカルにこだわる姿勢を強調しつつ、自然再生事業の原点を重視するなど、意欲的なところを見せて参加者の関心を惹いていたが、時間に押されて消化不良の勘は否めなかった。

 最後は「石西礁湖自然再生全体構想行動計画2019から2023」見直しが意見交換された。
 6つのグループに分かれて、議論を深めるなどしていた。

 参加者のひとりは「話し合いは十分されてきている。要は各人が行動するかどうかにかかっている。もう何度も同じ話をしている」と、厳しい声も。

 石西礁湖自然再生協議会の土屋誠会長も、締めくくりの挨拶で「会の目的を思い出してほしい。1970年代の石西礁湖に再生することを、忘れてはいけない。」

 サンゴの再生を思う人の集まりが、集まることで済んでしまうとすれば、孤立感があるのかもしれない。日本で最大で、しかも唯一礁湖と固有名詞持つ石西礁湖が、知られないまま放置され、国際港が中にあり、国立公園といっしょにもかかわらず、座礁船が長く放置される現象を生んでいる。それでいて、いつまでも浚渫工事がこの石西礁湖でおこなわれている。

 (流杉一行)

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