6月10日午前9時30分から石垣市民会館中ホールで地域安全学会・石垣市公開シンポジュウム「低頻度巨大災害への備えとリスクコミュニケーション」が開催された。これは文部科学省科学技術人材育成費補助事業「リスクコミュニケーションのモデル形成事業」の一環として行われたもの。
市内で昨日開催された同学会の学術会議に参加した人や、市民が会場に訪れて同シンポジュウムを聞いていた。同学会では、リスク情報を市民、行政、専門家が理解・共有して、起こりえる被害を最小化する取り組みへ結びつける「リスクコミュニケーション」を提唱。また発生頻度の低い最大クラスの災害発生では、頻度の少なさから備えも難しくダメージも大きくなりがち。そのような災害を低頻度巨大災害といい、この種の災害に関してリスクコミュニケーションをと、この公開シンポジュウムが開催された。
まず、糸井川栄一一般社団法人地域安全学会学会長が挨拶した後、石垣市教育委員会の島袋綾野さんから八重山明和津波について講話があった。
明和の大津波の被災状況が細かに分かる記述が文献を分析する中で現れてくることを説明。文献には、それによれば遡上した津波の高さは、30m程度であったとされ、80メートルと書かれたものだけでなく、様々な文献での検証が有効だと述べていた。
東北大学災害科学国際研究所の准教授後藤和久氏の講話では、琉球列島における低頻度巨大地震・津波のリスクについて話され、先島諸島は地震・津波の常襲地帯だという認識が必要なことと、明和津波から250年の経過は、地質学的に知られている再来間隔(150から400年)に入っていること。また短い到達時間で高い津波があること。これにどう備えるかを考える必要があると述べていた。
最後に、石垣市防災危機管理室長の大浜武さんが石垣市の防災対策の取り組みを説明していた。
デスカッションのコーナーでは、地域安全学会会長の糸井川栄一氏が石垣市の防災の取り組みに感想を述べたほか、明治大学の中林氏、常葉大学の池田氏が質問をするなどしていた。午後からは現地見学会を実施。八重山の大津波の史跡を巡っていた。なお同学会は春と秋に行われ、来年の春は奥尻島で予定されている。
(流杉一行)