旧正月を祝う 黒島の大綱引き 東筋

 1月22日は旧暦の1月1日。八重山はほぼ新暦の正月を祝うのが通例となっているが、なかには旧暦の正月を祝う人もあり、集落もある。

 各家庭で仏壇にお供えをする人や、ウミンチュが船に大漁旗を掲げたり、各御嶽で神司の祈願がおこなわれたりと、様々に目立たず実施されている。

 この日は石垣島の宮鳥御嶽では旗頭が建てられたり、また黒島では大綱引きが仲本・東筋の2つの集落でおこなわれるなど、かくのごとく昔ながらの旧暦の行事が八重山の一部で維持されている。

 ただ、この3年、コロナ禍で行事は縮小。御嶽での関係者だけでの祈願で終始されるなど、自粛が続いてきた。

 今年は、コロナ禍になって3年目にしてようやく、ワクチン接種やマスク着用や消毒など、コロナ対策に馴れて来て、密集への対策をとりながら行事開催の機運が高まっている。

 黒島の東筋村では、3年ぶりの大綱引きが、この日の午後2時から開催され、集落の人や石垣島の東筋出身の郷友らが集結して、そこに観光客も見物に訪れるなどして、約160人ほどが、新年はじめの伝統行事である大綱引きを実行。

 正月ユンタの掛け合いからはじまって、あつまった東筋に縁ある人は、正月らしい好天の下でがのびのびと、声を出して新年を迎えられた喜びを噛みしめていた。

 唄が終わると、武者らによるツナノミンがおこなわれ、勇壮な扮装で現れた武者が、人が支える演台の上で迫力溢れる殺陣を見せて、観客を大いに喜ばせていた。

 この日の武者役は、下地正敏(中学2年)君と島仲大八郎(中学2年)君で、下地君は「貴重な経験となった。懸命に集中してやっていたので、どうしていたか細かく覚えていないが、間違いなくたのしかったのと、おじい、おばぁに喜んでももらえたとしたら、うれしい」と述べ、島仲君は「3年ぶりということで、自分がやっていいのか気になったが、皆が支えてくれてできったので、うれしい」と、二人は初挑戦の舞台をやりとげて、充実した様子で話していた。

 このあと、南北に分かれて大綱引きがはじまり、観光客の参加も募って、大勢で綱引きがおこなわれたが、南側に人が多数あつまったせいで、あっというまに勝負がついてしまい、「早すぎたかな」という声も出る、和やかな雰囲気で綱引きは、南の勝利となっていた。

 このあと、ミルク神から五穀の種子の受け取る儀式が行われて、会場は可愛い稚児役や、黄色い華やかな衣装で現れたミルク神に注目が集まり、厳かな儀式を見守っていた。

 かくして、再会を決めた黒島の東筋の役員の面々は、無事挙行できた喜びを、その後の祝賀の催しで語り合い、大いに盛り上がっていた。
 (流杉一行)

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