国の特別天然記念物コウノトリと言えば、兵庫県豊岡市で取り組まれている人工孵化。飼育されている個体は96羽、放鳥され野外で生息し繁殖するなどしている個体106羽、野生の個体1羽で、同県で記録されているコウノトリの数は203羽となっている。
昔は国内で珍しくなかったコウノトリ。それが土地の開発で生息地を追われ出すと、あっという間に野生の個体は死滅してしまった。今、野生で見られるコウノトリは、足にタグがなければ、大陸から飛来した冬鳥だけとなる。
昨年12月6日に石垣島で確認されたコウノトリがそれで、今は石垣島で越冬している模様。1月7日石垣島南部の草地でも確認され、8日から10日にかけて連日見られている。
全身が白く、羽根の先が黒い。足は赤。クチバシが太くて長く黒い。目の周囲は赤く、眼の虹彩は黄色い。コウノトリ目コウノトリ科の野鳥で、国内で繁殖する野生の個体は1971年に途絶えている。
過去の八重山では、1993年11月に与那国に11羽のコウノトリが飛来している。また2008年11月に西表で、12月に石垣島で1羽確認されている。八重山には1990年頃まで時折飛来していたようで、石垣市と与那国町の指定文化財リストには、国指定の特別天然記念物として登録記載されている。
1993年頃見かけた名蔵アンパルを紹介する看板には、コウノトリが書き込まれていたものだった。
コウノトリは草地にいるバッタなどの昆虫や大きなミミズなどを探し、見つけると大きなクチバシで捕らえ、素早く飲み込んでいた。
草地に隠れる獲物を探し続けているのだが、同じ場所を何度も歩くのは、習性か。獲物がある場所とわかると長く餌取りにその場を離れない様子。
時々、目を閉じて動かなくなること8分ほど。ふと、また歩き出し、同じ場所を往復しながらじっくり餌を探し、移動していた。
また、雨の中、濡れ続けているせいか、時折羽根を広げていた。2m近い両翼の長さは、さすがに大きく感じる。
愛鳥家曰く、車から出ないで観察すれば、コウノトリもゆっくり餌を獲っていられるとのこと。
人が歩いて安易に接近すると、驚いて逃げることになり、やがて春を待たずに八重山を去ることになるとのこと。
島が気に入り、昔のように自然豊かな冬の八重山に定番で来てくれるようになれば、嬉しい限りだが・・・。
(流杉一行)