八重山病院副院長が医療崩壊を発表 第94回コロナ会議 関係機関で情報共有

 7月14日午後4時半から沖縄県八重山合同庁舎(旧八重山支庁)の2階大会議室で第94回八重山地域新型コロナウイルス感染症対策本部会議が開かれ、感染状況について情報が伝えられ、各機関との情報の共有がおこなわれた。

 会議の後は、集まった記者への会見が行われた。

 冒頭、曽根淳八重山事務長から11日月曜日以降の感染者数の増加を経て、13日水曜日でなお大量の陽性者を出す事態となり、群民に対しより徹底した感染対策をしてほしいという要望を伝えていた。

  この後、八重山保健所、八重山病院、徳洲会病院、かりゆし病院から感染状況および、ベットの状況、コロナ外来の実情を説明がおこなわれた。

 八重山保健所からリリースされた情報は、7月13日に確定した陽性患者数は331件で、石垣市307人、石垣市以外の八重山保健所管内22人、県外の人は2人で、それぞれ濃厚接触者、職業、行動履歴などが調査中とのこと。

  比嘉八重山保健所長は、「7月13日の八重山圏域の新型コロナウイルスの新規感染者数は、再び300名台と依然として高い水準となっており、感染リスクの高い行動は控えて頂くよう協力をお願いします。」と述べていた。
 
 八重山病院の副院長の松茂良力氏からは、空きベット数がゼロで、コロナ病棟も一般病棟も両方がゼロ。満杯とのこと。「今晩、怪我や病気になっても、入院するのは難しい」と述べていた。

 八重山病院でのクラスターは陽性患者が7人に増え、陽性の職員も8人に。病院職員の陽性数30人、濃厚接触関係22人で計52人が出勤していないとのこと。600人いる職員の1割不在。看護師に限れば20%から25%が足りない状況とのこと。本日朝から病棟を一つ閉鎖して、コロナ病床および重症の一般病棟に振り分けている。月曜日から外来は閉鎖しており、ガンの化学療法や透析は継続しているとして「八重山病院の現在の状況は逼迫を通り越して、医療崩壊している状況です」と、きっぱりと述べていた。

 石垣島徳洲会病院の池村綾院長からは、7月4日から発熱外来が100人前後、陽性率が7割、コロナ患者の入院数は9名。酸素吸入が2人、透析患者が1人、職員にも感染しており、濃厚接触者が6人、本日透析患者に3名が陽性判明して、透析室で感染拡大が起こるとなれば、50人いる透析患者の透析の予定日を感覚を開けて、変更するような考えられない治療になる可能性を述べていた。

 かりゆし病の境田院長からは、PCR検査の時のお願いと、ワクチン接種のお願いがあった。

 境田医師は、「かりゆし病院では、一日PCR検査を150件から300件やっており、午前11時からはじめていて、車の車列がボーリング場まで大渋滞になって続いている状態です。」と述べ、以下のようにお願いしていた。

 相談外来への連絡をせず、予約なしで来る飛び込みの人が一日約20人くらいある。そこは、間違いを避け、渋滞を早くなくすためにも、必ず予約をしてきてほしい。

 現状では、約300件の検査から約170件ほど陽性が出てくる。徳洲会さんでもかりゆし病院でもよいので、発熱外来に正規のルートで来てもらえば、状況に合わせて対応します。症状が強いときでも正規のルートでくれば、問題ありません。

 7月4日から100人以上の陽性者が出るようになって、BA・5の置き換わりで、これはこれまでと同じに考えては、広がってしまうと思う。
 感染予防方法はこれまでと同じで、それを確実に行うということだと思う。『いい加減にすると、すぐにうつりますよ』ということだと思う。

 ワクチンは介護施設の4回目の接種が終わります。7月31日の日曜日に、4回目の集団接種が健康福祉センターで始まります。日曜日は朝から夕方まで、月・火は午後から実施します。

 これは4週間続けて実施します。60歳以上5か月以上経過している人、60歳未満は基礎疾患がある人が対象。

 オミクロン株になって、(感染を防ぐことが薄れた感があるためか)ワクチン3回目の接種率が落ちている。しかし、ワクチンは重症化を防ぐことになっている。罹患して回復後に後遺症に苦しむ人が多いことを考えると、是非ワクチンを接種することを勧める。

 介護施設で90歳で陽性になっても、無症状や熱発程度で済んでいることを考えると、是非4回目を受けてほしい」と多くの人にワクチン接種を要望していた。
 
 なお、境田院長は70代、80代でワクチンしていない人がおり、感染した場合には八重山病院に入院できない状況が生まれていることを考えると、早く入院できる状況に戻すことを、真剣に考える必要があると思うとも述べていた。
 
 また境田院長は、ワクチン接種が減っている現状に対し、ワクチンが感染を防ぐよりも重篤化を防ぐために重要なものとなっていると述べ、後遺症を考えるとワクチン接種は大事と、接種をお願いしていた。
 
 記者が思うに、コロナウイルスで重症化して回復後も後遺症(集中力の欠如、倦怠感)に苦しむ人が出ているとすれば、考えてしまう。大人のこのケースをもし子どもが経験するとなるとどうなるか。学力低下や不登校にもつながり、子どもの人生には甚大な影響を落とすことにもなりかねない。そう親が考えれば、ワクチン接種を決める親が出るかもしれない。子供のためでもある。
 ただ、遺伝子操作のワクチンという悪いイメージは、かなりなくなっているものの、それでも心配する親心が壁かも。不活性ワクチンも出ている。いずれにしろ難しい選択だ。
 
 
 さて、二日前の368人は越えなかったとはいえ、この331人からして、この7月そしてこの週から、どう見ても何か起こっているように思えてくる。
 内訳では、10代未満が57人と多く、10代も41人で、20代は31人と年齢が上がると少し減るものの、30代では60人と跳ね上がり、40代でも64人と多さが維持され、家庭内での感染が深刻になっている事態が相変わらず見えている。50代も30人、60代も30人となるも、70代8人、80代5人、90代5人と、70代以上が一桁なのは、救われている状況。
 これまで通り、家庭内での感染が進んでおり、局地的な学級閉鎖の様相も市内各所で散発。その事態が選挙の期間中に熟成され、最終の土日では、石垣市の市政施行の記念行事もあり、選挙運動の表では見えないものもあろう。感染力の強いBA・5のオミクロンが、7月上旬に400キロ離れた石垣島に入り込んだか、変異したか。とにかく何かがおこった節が、現象から見ればいやおうなく言えてくる。確証はない話ながら、そこは検査体制もなく、県側でもBA・5への置き換わりの状況のリリースもなく、実態を示せるエビデンスはない。
 公的機関はつかめる情報を自ら限定しているかに見える。中央の御仁たちの権益の保持に利用されているのだろうか。
 3年前からの政府の後手後手の対応ぶりが、今も続いている。専門家任せでなければ、責任が持てないという、行政が持つ「待ちのスタンス」の対応ぶりは、熱心な職員が末端で動こうとしても、上からの承諾を待つ時間が、すべてを遅らせる。
 日本全国、既得権に従属して、それらしく居座って、澄ましているか。南海トラフよりも危ない日本がそこにないか。


 
  (流杉一行)
  
 

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