パイン・マンゴー出荷式開催

 6月21日午前9時から石垣市大川の八重山郵便局で2022年度パイン・マンゴー出荷式が開催された。この日もコロナ禍に配慮して、短縮しての開催で、主催者挨拶と来賓挨拶、生産者挨拶の後、パイン・マンゴーゆうパック出荷伝達式と称して、生産者代表の上間昇氏から手渡されたパインが入った箱が、運送員まで出荷式に参加した輸送会社、行政の長、郵便局長、郵便関係者などの手から次々に手渡され、積み込まれた運送者が郵便局を出発。拍手で関係者は見送っていた。

 主催者挨拶では、島仲貞克八重山郵便局長が挨拶に立ち、コロナ禍が続く中、出荷式が開催できたことを喜び、「パインマンゴー出荷シーズンの到来を告げることができて、本当にうれしい」と述べていた。

 生産者の挨拶では、上間昇生産者代表は、春先の長雨が続いて、日照不足が心配されたが、5月に入って日照が戻りつつあるとして、今年は例年同様の収穫が見込めると、明るい話題を語っていた。

 コロナ禍により、恒例の子どもエイサーは今回も見送られ、飴色に輝くパインの試食も小さな入れ物に個別に賞味する形となり、一定の配慮を重視しての心配り開催となっていた。目標出荷個数は5万箱で、昨年と変わらないとのこと。

 昨今、パイン農家も高齢化が進んでおり、炎天下での作業を強いられる農家には、厳しい収穫作業を、7月が来る前にと、八重山パインの代名詞であるハワイ種が減りだしている傾向がある模様。7月に集中しすぎるハワイ種のパインを、7月以外にも収穫しておいしいパイン品種を導入して、年中甘いパインが賞味できる状況を模索してきたJAでもある。

 ボゴール、ピーチが4月から甘い品種で、時期を問わず甘いゴールドバレル(高価)がある。規格を外れるとP-17という名で売られるサンドルチェ(高価)もあり、このほかジュリオスターもある。多彩な味が楽しめるのと、7月のハワイ種は、安くて酸味のと甘未のバランスの良さが定評。甘いものに当たれば、相当驚くはず。この味が、今の八重山パイン産業を立ち上げた大本であることを、実感できる原風景的な味。特別といっていい。

 当時、平均気温24度とされ、亜熱帯雨林気候の八重山ならではの、路地栽培での甘いパインが周知されることなったのは、農家の努力の賜物。

 八重山パインは、全体で栄えたいために、沖縄パインの名前に封じられた傾向は、パインに限らない。何かと沖縄本島に助けられる離島だからだ。

 しかし、やんばる等の平均気温が2度違うパインは酸っぱさが当時は強かった。自然に差別化され、八重山のパインが人気となった。

 今は、温暖化が進んでる。八重山の年間平均気温は昨年で25度となり、やんばるも自然に甘さの状態は八重山にかなり近づいている。

 八重山とともに農業振興を目指す沖縄本島だが、30年前には沖縄本島の農業は不動産業だと、揶揄する人も居た時代からすれば、よい方向に向かっている。それも、パインに関しては八重山での生果に関するパイオニアの取り組みがあってのこと。最南端での生果販売の農家の模索があっての今日である。

 ハワイ種を大事にしてほしい。今年は、中旬からハワイ種の甘くておいしいパインが出ているとの上間さんの話。6月パインの甘さは、温暖化現象の一端だとすれば、7月下旬は大丈夫かを、確認したくなる。

 (流杉一行)

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