レンブがたわわに実る

 石垣市新栄町の交番と八重山平和祈念館の間に、少し広い道がある。

 八重山漁協へ向かう道で、その中央分離帯となる街路樹の植え込みに、見事に育ったレンブの実が無数になっているのが見られた。

 緑を愛する市民が枯れた街路樹の代わりに、八重山農林高校の農業祭で買ったレンブを植栽。それが成長して、ようやく鈴なり状態に実がなるほどに育ったという。

 レンブは、フトモモ科の果樹。元来は果樹としてではなく、観賞樹として普及したとされ、マライ半島からガンジス川河口地帯で原産。

 インドネシア・ジャワやフィリピンの平地などで栽培され、台湾では1600年代オランダ領時代にジャワから輸入され、今も商品として市場や露店で盛んに売られている。

 八重山では、庭木に植える人もあり、果樹の味を知る人もあるが、広くは知られていない。

「図説熱帯果樹(国際農林水産業研究センター発行)」によると、繁殖には実の種子からの育成は難しく、取り木、挿し木や芽接ぎなどで増やす模様。

 植え付け後、3・4年目で結実するが15年頃が盛りとなり、一年で300キロ以上も取れるようになるという。台湾では5月から8月が結実期とのこと。一年おきの結実になることもあるという。

 店の前の結実を楽しむ金城はるみさんは、今年6月に成り始めを確認。その後、鈴なりになって、勢いの爆発ぶりに、大いに驚いたという。緑が好きで、これまで好意で水やりをしてきて、今年、あまりの鈴なりぶりにびっくり。いくら取っても次々に実り、木の周囲は落ちた実がゴロゴロ転がる状態。

 道行く人にもレンブの味を知る人には、うれしい果実のようで、車で通りすがりに枝ごと失敬する人も。甘酸っぱい果肉がこの夏の炎天下で働く人には、ちょっとした清涼剤になる模様。

 低いレンブの実はほとんど取られるか落ちるかして、わずかしかないが、上の方にはまだたくさんたわわに実っている。無理して、木に登ってまで取る人も出て、ちょっと危険かも。

 元来レンブは、台湾ではかなり盛んに食べられているが、島ではそれほど知られた果樹ではない。元来、石垣島の原野には、グァバや野イチゴ、桑の実などが豊富だった時代があったことを思うと、街路樹でもこんな一角が欲しいところ。

 桑の木の実のように、たくさん果樹が実る光景が、レンブでも各地の庭や街路樹で実現すると、楽しいのだが。
 
 (流杉一行)

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