新たな獅子頭で獅子舞 大浜でイタシキバラ

 8月23日は旧盆行事の締めくくりに、村をお清めするイタシキバラの日。招いた先祖とともに来た精霊をあの世へ返す行事でもり、女性陣らへの慰労の日でもあった。

 この日、石垣島の大浜では獅子舞が毎年盛大に舞われる日だが、昨年に続いて今年もコロナ禍から、役員らの少人数でオーセ御嶽の庭での獅子舞となった。

 村民への案内もしていないため、報道陣の取材も遠慮してほしいとのこと。よって残念ながら取材は断念。

 島の伝統行事は受け継がなくてはならない大事なものという大浜公民館長の島袋英信氏。「コロナ禍のリスクがあるが、万全を期して大浜獅子保存会がコロナ対策の下で練習を重ねてきた。村にとって大切な行事を受け継いでいくことを優先させた。」と述べ、オーセ御嶽でのイタシキバラ開催は昨年同様に一部の役員だけで実施が決まっているという。

 またこの日は、大浜村で新しい獅子頭が初めて獅子舞に使われる日となった。

 午後6時、大浜公民館の座敷事務所で獅子おこしが、26人ほどの役員らとともに、実施された。

 新たな獅子頭は、大和庭樹園から寄贈されたデイゴで制作。制作者は大盛聰氏で新しい獅子頭の方が大きいが、薄手に作ったことで、軽いものに仕上がったという。

 島袋公民館長の祈願の言葉が獅子頭に向かって述べられた後、神酒が獅子頭に振舞われて、会場は限られた人々の間ながらも、獅子頭への思いが現れた儀式となっていた。

 「獅子が(神酒を呑んでいる」と声が飛べば、おもむろに沸き返る空気があり、獅子舞を前に演舞への熱い思いがみなぎっていた。

 塩をなめ、昆布を食べ、神酒を頂いた一行は、そのあと島袋公民館長の「連日の稽古の成果を見せて、大浜字民のための村のお清めをしっかりしてほしい」という言葉を受けていた。

 また昨年就任した4代目となる大浜獅子棒保存会会長の田盛英伸氏から挨拶があり、
「コロナ禍の中でもあり、オーセ御嶽での獅子舞のあとは、4件ほどめぐる予定ですが、村人への案内はしていません。集まってくる友人知人には、軽い挨拶はしても、話し込むことがないように、素早く獅子舞に集中して、4件を済ませてください。」
と、コロナへの配慮を述べていた。

 この日の新調された獅子頭のそばには5本の横笛も新調されていて、嘉手川尚氏の制作で音が統一された。これまで大浜の獅子舞での笛は、各人バラバラに用意した横笛が使われてきた模様。今後は、どの横笛も同じ音がでるために、一致した音色を会場内に響かせることできるとのこと。

 新たな獅子頭で、新たな横笛が活躍する獅子舞は、コロナ禍のために取材はできないのが、残念。初物を逃すことになった。

 イタシキバラは午後7時からオーセ御嶽で行われ、古老が円陣の中心で歌を歌いあげ、ミンブチャー(ヒヤルガガッサイ)とナナチンガニが行われていた。かくして村のお清めを無事実現させ、大浜村の旧盆を締めくくっていた。

 (流杉一行)



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