ちびっ子 元気いっぱいにアンガマ披露

 8月20日は旧盆ンカイ(迎え)行事が八重山の家々で行われる日。

 この日の午前10時から石垣島大浜の竹の子の森保育園でちびっ子アンガマが行われた。

 今年の旧盆は、コロナ禍でしかも緊急事態宣言下。しかも夜8時以降の外出の自粛を呼びかける行政の声もあり、旧盆はできる限り自宅で家族だけでと、八重山の各地の青年会アンガマも一部で実施するもほぼ自粛状態。

 そんな中、昨年に次いで今年もコロナ禍でも、子どもたちに八重山の伝統行事のアンガマを受け継ぐ素地にと、入場者なしの完全園内でのちびっ子アンガマを開催した。

 この日演じるのは、4歳児18人、5歳児17人。同園の玄関口から、赤い花をあしらったカラフルな花笠をかぶり、衣装も皆着物姿で、ファーマー役が元気いっぱいで入場。すでにファーマー役を演じ切るかに、踊りながらの可愛い一行の最後尾にウシュマイとンミーが、クバ扇を手に入場。

 園内ホールに入ると、ちびっ子ファーマーがきれいに円陣を組んでウシュマイとンミーの指示で、10曲の踊りを披露。

 めでたい節から繁昌節、とまた節、桃里節と、八重山民踊がウシュマイとンミーの掛け合いも見せながら、曲名を大きな声で呼びかけると、踊り役のファーマーが元気よく円陣の中央に駆け出して、飛び跳ねながらの元気いっぱいな踊りを披露。どうやって、覚えられたか不思議に感じるほど、次々に曲に合わせて動く様子は、なかなかの圧巻。

 顔を覆っているため、表情はわからないものの、楽しんで演じるちびっ子パワーは全開で、保育士らも驚くほどの元気よさ。

 同園でのちびっ子アンガマは、ごっこ遊びから始まったとされ、20年以上続いているという。

 毎週水曜日に郷土芸能の日として子供たちは舞踊を習っているとも。この日は大浜青年会のアンガマを真似ての、アンガマとンミーのやりとりで、そこに日ごろの舞踊が盛り込まれてのちびっ子アンガマ。なんといっても4・5歳児が踊る様子には驚かされる。

 小底弘子園長は「川越市で10年暮らした時、郷土芸能の大切さを知りました。島に戻ってから、最初はごっこ遊びのアンガマを子どもたちとやってました。こどもたちに好評で、ちびっこアンガマとして始めて、10年になります」と、うれしそうに話していた。

 島の独自な文化の体験は、子どもたちに島の風土に培われてきた伝統的なものを根付かせてくれる絶好の機会となる。園長は「子どもたちが伝統文化の体験学習をすることは、とても大切なことです。コロナ禍でも対策をしっかりやって実現させた」と、父兄が見られなかったことを残念がりながら、今年も実現できたことを喜んでいた。来年こそは、父兄が見に来れる開催にしたいと、次回開催に意欲を見せていた。

(流杉一行)



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