早くもイワサキクサゼミが合唱開始

 3月28日、薄曇りの日が続く中、日差しが幾分強めに降り注ぐと、雑木林からイワサキクサゼミの鳴き声が「ジーーー」と鳴き始め、互いに居場所を知らせるためなのか、広い範囲で多くの鳴き声が、聞こえてきた。

体長12mmから17mmの日本で最小のセミで知られるこのセミは、石垣島地方気象台が石垣島測候所だった頃の第2代目所長、岩崎卓爾氏が発見してこの名がある。(届け出た学者が岩崎氏の偉業を称えてイワサキの名をつけ命名。)

 この日、新川川の周辺では、鳴き交わす声が日差しの強くなるごとに鳴きはじめて、周囲に波及。日差しが雲に遮られると、すぐさま鳴き止んでしまい、静かな時間が訪れる。これのくりかえしが、一日、ずっと続いていた。

 夏真っ盛りの時期の鳴き声とは違って、日差しの様子ですぐ焼き止んでしまうところは、明らかに鳴き始めらしい、初々しさが感じられる。

 やがて、あらゆる雑木林で聴かれることになる独特な「ジーーー」という鳴き声は、初夏の象徴、初夏の風物詩である。

 温暖化の影響で、暑くなるペースが早まっているかに思えているが、イワサキクサゼミの鳴くタイミングは、それほど変わって見えないのは、少し意外な感じもする。

 さて、いよいよ、うだるような暑さへ向けて、日が高くなり、日差しは強さを増すこととなる。

セミの鳴き声も、続々種類を増やしていく。しばらくすればイワサキヒメハルゼミやツマグロゼミ。

また5月に入ればヤエヤマニイニイ。6月にはクマゼミ、ヤエヤマクマゼミ、イシガキヒグラシ、タイワンヒグラシ、7月にはイワサキゼミと続いていく。

 12月ころまでイワサキゼミは鳴き続けるため、セミの鳴く季節が夏とすれば、晩夏が長すぎることになろうか。


(流杉一行)



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