新型コロナウィルスの感染を心配する中、八重山では各地で豊年祭の開催をオンプールだけに限り、できる限り神事だけの開催で、実施している。
8月8日午前9時、石垣市中央運動公園近くの小波本御嶽(クバントウオン)で四か字オンプールが始動。
すでに四か字ムラプールは中止となって、各字でのオンプールがこの日はじまった。
小波本御嶽では神司による奉納と祈願が公民館役員らの見守る中で行われ、静謐な御嶽で葉に包んだ供物をお供えするなどして、今年の五穀豊穣に感謝し、来夏世の豊作を祈願していた。コロナウィルスの感染防止のために三密を避けるべく、太鼓や出迎えの旗頭の登場もなく小波本御嶽での祈願は終了。
一行は、この島に稲作の種子とその栽培法を伝授したとされるマルファイの墓でもある米為御嶽(イヤナスオン)に移動して、オンプールの準備に入った。
ほどなくしてダンプに積まれた「弥勒世」と書かれた雉牡丹の旗頭が到着。三密を避けて練り歩かない旗頭が鳥居に1基のみ結ばれると、いよいよオンプールの開催となった。
いつ見ても荘厳な雰囲気に満ちた米為御嶽は、二人の神司の祈りからはじまり、米粒から見取った神からの託宣を新城浩健登野城公民館長に伝えると、いよいよミシャグパーシーが始まった。
三密を避けるべく、この日は4人づつ2組だけがミシャグパーシーを実施。少ない人数ながらも、思いのこもった歌声が御嶽に響きわたっていた。
旗頭が練り歩いて、御嶽に到着するシーンもなく、太鼓隊の奉納もなく、婦人会による巻き踊りも行われないのは、そこも三密の回避で。
御嶽に集まった人々に、登野城公民館係員が照射式温度計で来場者全員に体温測定し、名前と連絡先を記入してもらい、万が一に備えていた。
例年より少ないギャラリーだったが、島に最初に米をもたらしたとされるベトナム人マルファイの御嶽でもあり、注目の豊年祭は遠巻きですこしずつ人も集まっていた。昔ながらの衣装を着こんで御嶽に臨む人もいて、その様子を漏らさず見守る様子も見られ、思いの伝わるオンプールとなっていた。
挨拶に立った新城浩健公民館長は、
「稲の神、水元の神として祀られているイヤナスオンは、登野城だけでなく、八重山字民の命と暮らしを守ってくれる崇高な神の宿る聖地であり、本日ここで皆様と共に、今年の五穀豊穣に感謝し、来夏世の豊穣を祈願していただき、誠にありがとうございました。」と、挨拶していた。
挨拶を終えると一行は、天川御嶽に移動して、そこでも神事中心のオンプールを開催していた。
午後2時からは、新川、大川でもオンプールが行われた。
(流杉一行)