7月9日午後1時から沖縄県合同庁舎大会堂で八重山マンゴー研究会によるマンゴー品評会が行われた。
毎年実施されるこのマンゴー品評会は、八重山マンゴー研究会の会員24家族が、よりおいしいマンゴーを目指して、その育成方法の研究を重ねるために取り組んでいるもの。
この日の前日8日に、マンゴーの収穫ピークを迎えており、この日の品評会への会員の参加が半数しかできず、関係機関が加わっての審査となっていた。
この日、会場には16農家のマンゴーの最高のできのものが展示され、外観、果肉色、香り、甘さ、酸味、バランス、濃厚さ、なめらかさ等が1から5の5段階評価で審査されていた。
審査をするマンゴー農家や関係機関のスタッフは、熱心にひとつひとつのマンゴーを試食して、食べ比べていた。
並べられたマンゴーはすべてアーウイン種。真っ赤な姿はまるでりんごのようにも見える。アーウイン種は、アップルマンゴーとも呼ばれる。
展示されたマンゴーには、それぞれ糖分と酸味の数値が記されており、それも参考にする人、しない人と、各人の嗜好で審査されていた。
それぞれの特長あるマンゴーを味わうことで、そのマンゴーの違いを堪能するとともに、その奥深さを学んで、農家が自分の栽培に生かすのが目的のマンゴー品評会。
審査の集計結果は、8月の研究会で発表され、優秀な人からその育種に関する学習会を実施予定とのこと。
参加者の農家の一人は、「皆、研究熱心で全体でマンゴー栽培が上手になっている。まだ、若干、2つほどに少し惜しいマンゴーがあったが、全体にグレードがあがっている。」と、評価していた。
西原章恵八重山マンゴー研究会副会長は、「全体にマンゴーの品質は上がっている。これも研究会の活動の賜物。マンゴーはパイナップルと違って、追熟する果樹。一般にデパートやスーパーに出荷する場合は、青いうちに早めの収穫をして、輸送している間に追熟させるのが普通。一方で八重山マンゴー研究会の農家は、ポトリ果と呼ばれる木から自然に落ちるほど実ったものを、売ることで、そのおいしさが頂点にあるものを販売している。」
「ちょうど枝からポトリと落ちてから2日目がもっともおいしいマンゴーになることから、このやりかたで八重山では取り組んでいる」と西原さんはいう。
そういう意味で、八重山のマンゴーを特別気に留めてくれる顧客がいるとのこと。
ただ、ファンの消費者へ個別に郵送する販売方法が軸であるため、新型コロナウィルスの自粛からの空の便の減便が、少なからず影響しているという。宅配が若干遅れている部分や、海の便への変更で到着が遅れるケースなどだという。
そんな中、石垣市が実施する南風ぬ便チャーター便の就航は助かっていると、西原副会長は述べていた。
さて、イメージとしては、パインアップルよりも高価な贈り物のマンゴー。取材以外にはなかなか食べなれない記者などには、味の違いは分かりにくいが、ただ甘いだけでなく、酸味とともにマンゴー独自の味わいが、バランスよく仕上がる果実が、比較することで分かってくるような気にもなった。
八重山のポトリ果系のマンゴーの魅力を、島の人が理解することは、大切かもしれない。つくる農家だけでなくたべる側の消費者にも、マンゴーの味覚の奥深さが理解されるなら、こんな強みはないはず。
高価なマンゴーだけに、そう簡単ではないが、八重山の亜熱帯の特性を生かした生産品だから、チャンスがあれば、微妙な味覚の奥深さを、うまく広報してほしいところだ。
(流杉一行)