JTAが臨時貨物便を就航 3日間で島産品一便4トン

いびn 5月6日午前11時25分発那覇行き9803便が新石垣空港の滑走路を離陸。

 これは臨時の貨物便で飛ばすのは日本トランスオーシャン航空。明日と明後日の3日間就航する。(那覇発石垣行きは9801便)

 島では、新型コロナウィルスで航空機の便数が大きく激減したために、本来空の便で送れたものが船の便に切り替わっている。そんな中、臨時貨物便の就航は、第一次産業の事業者には実にうれしい話。

 この日、養殖エビ1トン、マグロ1トンほか、パイン、ゴーヤーなどの農産物が積み込まれて、ボーイング737―800型の機体は、那覇に向かって飛び去っていった。

 出発前、コンベアーには、段ボール詰めされた島産品が次々に乗せられて、機内の貨物室へ運び込まれていた。

 通常は旅客機には乗客を乗せて、貨物の積載重量は2トン。今回の臨時貨物は、その名の通り旅客は乗せず貨物オンリー。

 手荷物分も含めて貨物に振り分け4トンが積載可能となった。

 ただ、中型機であればコンテナが使えて、大型の荷物が積み込める。ところがコンベアーから人力での積載作業となれば、大物が積載しずらい。200キロを超える本マグロ(クロマグロ)を積む際は、低い姿勢で作業を強いられ、相当な苦労となる模様。

 この時期、最盛期となるクロマグロで、新型コロナウィルスの影響で、値が上がらない状況でも、ものが良ければ3000円代にまで上がるとも。そこはさすがに豊洲である。

 ただ、行き先は那覇。そこで同様の臨時貨物便の羽田行きと伊丹行きに荷物は分けられる。伊丹から四国の市場と名古屋の市場へ行ったのは、キハダマグロ各4本づつ計8本。羽田へは本マグロ1本とキハダ4本。品質を厳選しての出荷となった。やはり、良いものは新鮮な状態で届けて生きてくる。

 この時期は、2年前までは本マグロの最盛期。当時は築地だが、築地をはじめ全国の市場に本マグロが送られ、八重山漁協の荷捌き場は活況を呈していた。島には、出回らないが、少し出回っても、築地行きの上質な本マグロはまず島に出回らない。それが当たり前だった。

 そこに起こった新型コロナウィルス禍。

 実は、ある船が今年の5月5日に本マグロを4本捕獲。2本を島での消費に回し、2本は豊洲に送る予定が、本日6日の豊洲行きが1本に限定されてしまった。臨時貨物が飛ぶ機材はボーイング737。この場合小型機ゆえに、基本的には本マグロは積み込みできない。そこを1本積み込めた格好。

 船主には面白くないところだ。
 かくして残った1本が別の刺身店に回って、豊洲行きの本格的な本マグロが市中に出回ったことになる。そう、見逃せないいい本マグロなのだ。

 八重山漁協のセリ場で、捌かれている中、周囲の人が驚いて寄ってくる。「これは普通ならキロ1万クラスだ」とも。かくして刺身屋では、赤身と表示されている刺身が実際のところは中トロの味。中トロと記載されて売られているものは、味は大トロ。大トロ表示は大トロを越えた絶品ものとなる。500円パックで売られているから一般消費者に手が届く勘定。こんな現象が、今、島で起こっている。

 とらえた船主は歯がゆいが、コロナ事情が厳然とある。いやおうなく、そこは消費者への大盤振る舞いとなるわけだ。
 本日6日、本マグロ表示のある店を見つけた人こそ、今晩最高の食卓を飾れることになる。

 (流杉一行)

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