ヤエヤマボタルが夕闇に乱舞

 4月から5月に最盛期を迎える石垣島のヤエヤマボタルの雄の幻想的乱舞がすでに3月から始まっている。西表島では2月からはじまり、石垣島ではほぼ一か月遅れではじまる。

 3月17日、於茂登岳登山道近くの路上で、午後7時15分からおよそ30分間、ヤエヤマボタルの雄が多数点滅しているのが見られた。「あそこににも」「奥にもいっぱい」と、蛍の光の乱舞観察に集まった人々は、口々に蛍の光の発見を喜んで闇の中の点滅を見つめていた。

 この日の日中は、朝方は曇り空ながら、その後概ね晴天が続いては、ヤエヤマボタルの出現条件には好条件。月没は昼の12時42分。となれば夕方は月が出ない。

 そんな条件で7時15分の薄暗い中、ひとつふたつヤエヤマホタルの点灯がはじまると、「あ、光った」と、声を上げる人へ集まった観察者が続々足を向け、時間とともに点滅の数が増え始めていた。

 7時20分には盛んに輝きの数と勢いを増やして、見ごたえある群舞ショーが静かな森に展開。

 観察者はしきりに「きれい」「かわいい」「すごいね」「ほら、ここにも」「こっちにも」と声をかけ、「光が強くなっている」「ここもだんだん増えてきたね」「あっちも飛んでいる」と、「こっちも光った」「いたいた」「みてみて」と、ヤエヤマボタルの光の舞を堪能していた。

 7時35分には勢いは衰えて、40分頃にはかなり弱まって終息方向に進んでいった。

 石垣島の前勢岳、バンナ岳、於茂登岳、屋良部岳など、ヤエヤマボタルの観察可能な場所で午後7時頃頃から起こるヤエヤマボタルの群舞は、約30分ほどで終わってしまう短期に実施される、ホタル種の継承にとっては重要な繁殖行動。

 この日の観察者は、誰も懐中電灯を照らさず、車の乗り入れもなく、30分間闇夜が続く中での、マナーある観察会となっていた。毎回、マナーある観察が続くことが、ヤエヤマボタル生存維持に必要だ。

 ただ、最盛期に向け、観察者の増加でタクシーでのヘッドライトを付けての駆け込み観察や、子ども連れでの懐中電灯の投光などがおこる可能性がある。

 それでは観察できるポイントが減る傾向が進み、しかも見られる場所でも、その規模の縮小が否めない。最盛期に入ればガイドが引き連れるグループ数が膨大になり、グループ間でのマナーも重視される。

 八重山の自然の豊かさが見せてくれるヤエヤマボタルの点滅だが、闇夜に見える幻想的な光景が、知らないところで進められる開発で失われている可能性は十分ある。

 ホタルの群舞を通して、人知れず営まれる大自然の未知な美しさを想像してみることが、自然を守るうえでお薦め。見た目の凄さをきっかけに、そこまでガイドしてほしいところ。

 ヤエヤマボタルは、約4.5㎜から6.5㎜ほどの極めて小さいホタルで、その発光力の強さで知られている。雄が繁殖のため夕刻の短時間に雌を求めて発光、群舞する姿は見事。

 それを合成写真で、作品を制作し、きれいな光景になった喜びから、ヤエヤマボタルあるいはヤエヤマヒメボタルと称して、インターネットに発信する人も多い。

 実際に見られる光景と、写真はまったく違うものながら、闇夜に展開される光景を代理する絵としては、注目できる写真だが、合成を示さなければ、偽写真。家に飾るだけなら問題はないのだが。

 ただ、この「やいまニュース」(流杉一行)だけは、写真の合成は一切しません。

(流杉一行)



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