8月16日は旧盆明けのイタツキバラの日。八重山各地でお盆行事を終えた次の日、村の繁栄と村人の健康を願い、多忙だった3日間から解放され、一息つくかにこの伝統行事がおこなわれた。
石垣島大浜では、崎原公園内で大浜公民館主催のイタツキバラが開催され、恒例の獅子舞が行われた。
この日の午後7時、まずは大浜小学校6年生による子供獅子で会場を大いにも盛り上げた。
伝統文化の継承に、子どもたちの獅子舞の取り組みは、後継者育成につながるものでもあり、黄色い獅子が登場すると、会場は賑わい、見守る子供たちの親類をはじめ多くの大浜字民の目が集中していた。
このあと、旧盆3日間に多忙を極めた女性陣の慰労のためにやぐら踊りが開催され、大浜婦人会のメンバーが中心になって踊りをスタート。
飛び入りで多数の婦人らが輪に入って、たのしく踊りを楽しんでいた。
夕闇が迫る頃、大浜老人クラブ長寿会と大浜古謡愛好会のメンバーによる7月ミンブチャーが歌われ、村人は牧踊りをしながら「ヒヤルガガッサイ」と、大声で唱えながら、両手を広げて、皆総出で参加。
白装束に黒いタスキで現れた太鼓隊による「ナナチンガニ太鼓」で、場内のお払いが行われた後、大浜獅子棒保存会による獅子舞が行われた。
足をしっかり上げて弾んで歩く、獅子を操る男二人が、棒を披露したあと、獅子を呼び出すと、まるで生きているかに躍動する獅子が登場。
2体の獅子は、落ち着いた音楽の下で、賢く立ち回って見せ、ドラム缶に乗って見せるなどの難しい動きを披露して、聴衆から拍手を受けていた。
やがて、激しいテンポに音楽が変わると、人々は幼子を手に獅子に殺到。獅子は暴れるように聴衆が憩う場所に突進して、そこで獅子に向けられた幼子の頭を軽く噛んで見せていた。
獅子舞の獅子に幼子が頭を噛まれると健康に育つと昔から言われており、幼子を持つ親には、健康な生育を願うことから、大勢が獅子に集まり、獅子の突進に備えていた。
怖がる子供は、大声で泣きわめくなど、会場は騒然としつつも、恒例の獅子舞の独特の雰囲気に盛り上がり、会場はお盆の疲れを忘れて、獅子の躍動に見入っていた。
しばらく、暴れ獅子の幼子の頭噛みがつついた後、獅子舞は終了。
大きな獅子の出現でハラハラする心理現象から、3日間の祖先供養気持ちを日常に切り替える行事でもあるイタツキバラ。
昔から祖先の霊に交じって降臨したとされる迷える霊をあの世に戻すのがイタツキバラの行事の目的ともいわれた行事だった。
今は、村を浄化するというよりも、3日間の女性陣の慰労会も兼ねる傾向を加え、この石垣島大浜では、子ども獅子舞で後継者育成を感じさせる取り組みも見せていく。
大きな獅子の躍動を見た後は、公民館が実施するてづくりの花火大会となり、集まった聴衆は闇夜に打ち上げられる多彩な種類の花火を堪能していた。
(写真・記事・動画 流杉一行:ながれすぎ かずゆき)