全国初、アートで海を守る 観光客参加型マイクロプラスティックを拾って参加!

 八重山から漂着ゴミ対策に画期的な取り組みがはじまった。

 「530」はゴミゼロの略で、それを目指す日の5月30日、午前9時から石垣市ユーグレナ離島ターミナルの平田観光カウンター横で「YAMANEKO 530(ゴミゼロ) ART」の記者発表が行われ、仲程長治氏と竹田尚志氏が記者への説明にあたった。

 これは、海洋の漂着ゴミが世界的大問題の中、西表島の漂着ゴミをなんとかしようと取り組まれるもので、意識の高い観光客に呼びかけて、島の海岸に漂着したマイクロプラスティックをひと握りでも石垣島の同ターミナルの平田観光に持ち帰ってもらい、アートづくりに参加してもらうプロジェクト。

 平田観光カウンター横には、マイクロプラスチックを投函する大きな容器があり、そこにマイクロチップが溜まると、アート作品ができあがってくる恰好。(西表島以外のものでも投函可能)

 この日、記者発表したシネマグラファーでアーティストの仲程長治さん(60)が発案したもの。石垣島出身の仲程さんは、20代から沖縄県内で写真家、デザイナーとして活躍しており、2017年より「やんばるアートフェスティバル」の総合ディレクターを務めている。

 「小学生の頃、海で見つける漂流物は、植物の種子でした。今は、漂着ゴミで、観光客が海がきれいだと見とれていますが、その背後の植物に隠れている漂着ゴミには気が付かない」仲程さんは、そんな観光の現場で、観光客がアートづくりに参加することで海が少しでもきれいになり、賛同者が増えることで、海のクリーンアップに関心が高まることを願っているという。

 この日、Us4IREOMOTE「アス・フォー・イリオモテ」という4月15日(イリオモテヤマネコの日)にスタートした西表島の自然保護を支援するプロジェクト代表の竹田尚志氏(55)も説明に参加。YAMANEKO530ARTは、同プロジェクトの一貫。

「知ろう、守ろう、話そう、残そう」の4つのキーワードを軸に、自然保護・文化継承に取り組む人々とともに、観光客一人ひとりができることを考え、行動することを目的としてスタートしているUs4IREOMOTE。

 米国のポートランドのアウトドア・フット・ブランドの「KEEN」(キーン)が牽引き支援するプロジェクトで、竹田氏はキーン・ジャパン合同会社の代表取締役でもある。


    額の文様がデザインされている

 4月12日に発売された同社のスポーツサンダルUNEEK(ユニーク)の最新モデル「ユニーク エヴォ」の売り上げの10%を西表島の明日を守る活動に活用される取り組みがスタートしており、そこが財源でもある。

 「YAMANEKO 530 ART」は、このプロジェクトの「守ろう」と「残そう」を実行するもので、ART制作への参加を通じてマイクロプラスティックを回収し、ドキュメンタリー制作を通じて地域の文化の記録をつくり、多くの人に見てもらうことで、共感を引き出して「残そう」という啓発につなげるもの。

 すでにUs4IREOMOTEはやまねこパトロールとともにシンポジュウムを4月14・15日に開催。やまねこパトロール隊員の増員にも一役買っており、現在人材募集中。

 「チリも積もればアートになる」そんな観点で、自然保護に多くの人の参加を募り、そこで仕上がるアートが、また多くの人の賛同を呼べるとなれば、広がっていくものがあるはず。

 自然を見ることで受けた感動の恩を返す意味でも、意識ある観光客からの反応がARTとして仕上がる発想。今後の進展がたのしみな取り組みと言えそうだ。

 ちなみに、ユニーク・エヴォは、13,000円(税抜)。

 最近のシューズやサンダルのほとんどが接着剤でつくられ、耐久性の悪さは誰もが諦め気味。ところがこのユニークエヴォは100%接着剤を不使用。ダイレクトアタッチ製法とのこと。

 また路面が濡れていても滑らない加工がされており、かつ靴底が外れて、洗えるようになっている。2本のコードで編まれているため、履く人の足に合わせて形がフィットしていく構造。新時代の足回りといえそうだ。


 

(流杉一行)



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