国立自然史博物館誘致合戦の八重山側拠点が総会

 平成30年度八重山への国立自然史博物館の誘致に向けた推進委員会総会が5月17日午後2時から石垣市役所第1・第2会議室で開催され、40人を超える委員が集まり、多忙な中山義隆委員長のあいさつを竹富町前鹿川副町長が代読した。

 そのなかで、日本学術会議が平成28年5月に「国立自然史博物館の必要性」を発表し、自然史科学の研究者が国立沖縄自然史博物館設立準備委員会を設立。

昨年9月に一般社団法人化をして、活動費の資金繰りを円滑に、全国でシンポジュウムを開催して、同博物館の設立にむけた機運を高めたい考えだ。

 沖縄県は担当大臣への要望書を提出するなど、誘致への取り組みを見せている。また市町村単位では、八重山と北部3村が手を上げて、推進会議を立ち上げて誘致合戦を展開。その合戦の八重山側担い手がこの総会の委員である。

 総会はこの日、前年の事業報告をして、収支決済決算監査報告をして、事業計画案および予算案を了承していた。

 世界的に有名な自然史博物館は、アメリカのスミソニアン博物館で、膨大な生物の標本を揃え、最高峰の英知を結集する権威ある殿堂。

いわば国立自然史博物館が出来れば日本国の自然史を網羅する一大拠点である。

ただ、日本の研究機関の国依存が進む中で、果たして世界に誇る自然史博物館が学閥で泥まみれの日本に生まれる可能性はあるのか。周辺各国から東洋一と評価を得られるものに出来るのか。

 かつて、東アジアのサンゴ研究の拠点とされた国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターが、影を潜めたまま環境省の事務所と化しているように、学術系の拠点は民間の支援の薄さが国主導に傾いて、国の利用機関化する傾向が否めない。

 独自な研究を大々的に進められる独立性の高い博物館が、市民の協力のもとに進められることが、まず重要では。

 文化度の高さを示せる歴史と民意がある地域で、その立地を進めるとすれば、果たしてどこがいいか。

2万4000年前の人骨も出た石垣島で、早くから国立公園のある八重山でもあり、新空港建設で自然環境を守るために30年以上建設を伸ばした場所でもある。

その素養は十分あるのではないか。それを掘り起こすなら、今進められる景観条例の改悪や、各地に進む農振除外のラッシュ、自然のままの緑が失われている現状を、まず改めるべきでは。

 下草をきれいにしてホタルの生息を失う公園管理のような、生物の生息に無頓着な業者の素養を、なんとか高める必要があるのではないか。新空港の工事を思い出してほしいところだ。


 
 (流杉一行)

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