平成28年度第3回石垣市文化財審議会

 3月21日午後2時から平成28年度第3回石垣市文化財審議会が開催され、事務局から8人の委員へ「石垣村の星見石調査の経過」と「前勢岳北側ゴルフ場開発計画に伴う文化財等の有無確認」の2つの報告がなされた。

 また「宮良川上流におけるヒルギの伐採」と「大浜町浄水場跡」に関して審議され、国の天然記念物のヒルギ林のエリアがすぐ下流にあるにもかかわらず、文化財指定エリア外であることを理由に、文化財への影響を軽視して土木事務所が工事に着手。磁気探査の理由で広範囲にヒルギを切り倒した跡の写真が報告されていた。

 大浜町浄水場跡に関しては、調査内容の報告と土木事務所との調整について、話し合われた。新聞報道の市長のアクセス道路を優先する発言に触れ、審議会側から石垣市教育委員会へ大浜町浄水場を残す方向での審議結果を、どう受け止めているか。その反応がない実情を把握。審議会の会長と副会長が、教育委員会と直接の話し合うことが、決められ、日程調整が事務局へ打診された。

 宮良のヤアブ並木や川平のヨーンの松など、伐採を避けることで、価値ある景観が保たれてきた石垣島。新空港の海での滑走路が変更され、陸にあげてサンゴを守った空港ができ、今に至ることなど、開発優先を曲げてきた。しかし開発ありきで走り出す行政の傾向性は今も変わらない模様。

 審議では「壊してしまえば残らない。」「今のような重機がない時代に先人が苦労して大切な水を供給するためにつくった浄水場の価値は、水の大切さを再確認する意味でも大きい」と、委員は文化財として重要性を述べていた。たしかに、取って付けたどこにでもある商業観光施設は、最初新品で目がいくが、全国に似たようなものがあるのを、あとで知らされると、すぐに飽きる。島にはかかわりはない。
 先人の思いと共に、そこに公園や史跡として観光施設として整備する意義の方が大きいと委員らは述べていた。

 新空港の建設に環境保全を最優先で取り組んで、2万4000年前の人骨を掘り当てた。その空港へのアクセス道路で、文化財を軽視できるところが、経験の浅さか。県の担当者も新空港の経緯は忘れたか。

(流杉一行)

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