3月19日午後1時から「八重山に国立自然史博物館をつくろう!小中高校生研究発表会および講演会」が市民会館中ホールで開催された。
八重山への国立自然史博物館の誘致に向けた推進委員会が主催するイベントで、今回で2回目。島の小中学生が様々な研究発表をしており、その発表がおこなわれた。口頭発表とポスター発表に別れて実施され、フナムシの研究、石垣島名蔵川水系の水質とそこに生息する生物調査、アンパル水系における魚類と甲殻類の生息調査、紙飛行機の射出条件による飛行運転に関する研究、石垣島光害調査、石垣島の天気、高校生による赤土流出防止策など、日頃の研究成果を真剣に発表していた。
第2部の講演会では、橿原昆虫館館長の中谷康弘氏が「橿原市昆虫館の活動紹介」を、琉大理学部の中川鉄水助教は、「理科と水素の重要性 わかれば楽しい「理科威力」」をプロジェクターをつかってわかりやすく講演した。
さて、誘致を目的に取り組まれるイベントだが、国立自然史博物館は国が莫大な予算を費やして立てる国を代表する博物館構想。自然史となるものは、岩石から生物まで、あらゆる標本が貯蔵され、長期保存できる装置が完備する重厚な施設。市民の意識の高さで、その誘致が可能となるクラスのものとは、到底思えないもの。不可能とは言えないが、よほどの意識の高さが市民レベルで表れてこない限り、手を挙げることは難しい。文化的な価値の高い石城山を壊し、文化的価値の高い様々な遺物を放置して、安っぽいマンションや道路工事、観光バブルに目を奪われた地主が土地を売りたいために雑木林を伐採して、緑の島を開発の手にゆだね続ける場所に、はたして評価が下るか。この負の傾向は島に限らずどこもいっしょではあるが、自然の大切さに目覚めるためには、まず既存の島の文化財を生かす方向になければ、いけないのではないのか。
日本全体が自然の価値を再評価する機運を生むような、中身が濃く、人が高い関心を惹く博物館が必要となっているのなら、まず八重山には美しい自然がある。しかし、その維持が厳しい局面にあるのも島人は知っている。研究意識だけが自然史に関心を寄せるわけではない。ねらいがあるのだ。そして独立行政法人が運営する博物館であれば、採算と意義が民意を得ていなければ、まず難しいはず。国立亜熱帯自然史博物館がまずもって、最適に思えるが・・・。先進国にあって本国で当地にこれが建てられるのはアメリカと日本だけなのだから。
(流杉一行)