石垣牛枝肉初セリ 抽選が連続

 1月12日午前11時20分より株式会社八重山食肉センターで、令和5年石垣牛枝肉初セリの開催セレモニーが行われ、出張中のJAおきなわ八重山地区本部長の石垣信治氏に代わり、八重山地区畜産振興センターの仲唐敏和センター長が挨拶を代読。

「おいしさを追求し、ほかにはマネできない付加価値を創造することで高値の相場を維持できるよう関係機関とともに様々な取り組みを行っていきたい」と述べていた。

 昨年度より島内の枝肉購買者、生産者、JAで飼養頭数の再確認と今後の計画をもとに協議して、EMSランク、上限販売方法をとっていることも述べていた。

 この日、11時30分から初セリが始まり、10人の購買者が20頭の枝肉をセリ落としていた。競る枝肉に対し、購入意思を持つ購買者が購買者番号札を立てて、セリ人が声を張り上げて唱える値に、札を立てる人が一人になるまで続けられた。

 3500円までひとりにならない場合には、残った購買者が抽選くじとなり、即座にくじを引いていた。

 この日は、くじでの購買となるセリが多く、20の内14が3500円で抽選を実施。初セリはほぼ抽選大会のような様相で、コロナ禍での景気の厳しさが緩みつつあるかに見えた。

 この3500円以上にならない配慮は、コロナ禍で値が釣りあがると石垣牛が高価すぎて市場に出回らなくなるため。また人気の低い枝肉に値がつかなくなることから、そうれを避けるべく、高値に上限を設けて、低い値にも回るように、極端な高価と安価を避けるため。

 セリの継続のための配慮をするとともに、枝肉値段が安定することで、全体で畜産関係者がコロナ禍の厳しい状況を、互助の形で乗り越えるねらいがある。

 この手法は昨年度から実施され、昨年前半は厳しい状況を乗り越えてきた。昨年9月あたりから3500円で抽選となる形が増えてきたというが、今後またどうなっていくかが見えないところもあり、この手法は継続する模様。

 初セリでご祝儀相場から高額を祝う空気が、正月の定番だが、コロナ禍を抜けきらない限り、枝肉に関しては、春は遠いといえそう。

 また、ウクライナ戦争や円安による物価高から、飼料の高騰が起こっており、畜産経営を圧迫する状況は深刻化に向かっている。経費節減が急がれ、亜熱帯気候の利点を活用した牧草栽培による飼料確保が、より気候を生かす形で進めることが模索される。

 どう、新たな地平に向け、新たな技術を生み出すか。今こそ、互助の精神で島のペースづくりがカギのようにも思えてくる。

 八重山の豊かな自然を守り、次代に引き渡す共有資産として、それをよりよく皆で活用する視点が、農業でも芽生えてほしいところ。

 観光はここにしかないものを大切に考え、この宝の自然から、自然に関する知識を高めて、活用法を編み出してほしいところ。

 畜産も観光も、地元だからできることを、考えてほしい。 

 (流杉一行)

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