令和5年の子牛の初セリ 初日の最高額は151万円

 1月13日、家畜市場の初セリが黒島家畜市場と八重山家畜市場で開催され、それぞれ最初に登場する牛に、景気づけのご祝儀相場が出て、大いに沸きあがっていた。

 八重山家畜市場の初セリでは、上場牛847頭が二日間に渡ってセリが行われる。

 第一日目は、午後2時からまずは、子牛のセリがスタート。305頭が上場され、次々に、体重が紹介されて、購買者は子牛の太り具合や、体型など、牛の様々な様子を観察して、黙々とセリ落とすボタンを操作して、牛をセリ落としていた。

 この日の冒頭は、初セリの式典もおこなわれたが、コロナ禍のため、縮小して主催者や来賓の挨拶の後、乾杯の音頭で、即セリに突入。かつてのような鏡割などの祝賀ムードは皆無でのスタートとなった。

 ご祝儀相場を画しての主催者や3市町長、県知事代表によるセリでは、それぞれ、いい値が付き、なかでも前泊竹富町長の牛に、127万6000円がついて、会場は沸き返っていた。

 この日の最高値は、5番牛(飼養者は丸冨ファーム)の丸冨42号(386キロ)で、生まれて319日経過の去勢牛。父は金吉幸号、母はももか52号。母の父が美国桜号で、昨年12月に1100万円という破格な値がついた子牛の父と同じことから、美国桜号に関心が高まる機運がうかがわれた。

 305頭の上場牛も、値に納得いかない飼養者が売るのを止めるケースや、登場しない牛も出るのは、従来と変わらないが、経産牛の登録が12月で100頭、今月も80頭近くあるなど、飼料や資材の高騰や、資金不足など、畜産の厳しい状況が、セリで見られていた。

 妊娠中の母牛を売る頭数が増え、母牛についた値に納得できず売るのを止める農家も、辛い部分が見えてくる。

 普段注目される子牛の値の行方も気になるが、それ以上に畜舎の牛の飼養にふりかかるコスト高からの負担増という暗雲の方が、なお気になる。八重山が持つ豊かな自然を生かした打開策が、編み出されることを願いたい。

 なお、明日も午前9時からセリがおこなわれ、子牛439頭が上場される。

(流杉一行)
 

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