2021年の台風14号は、905ヘクトパスカルと猛烈な台風に成長して、八重山を恐れさせた。発生当初の8日頃は9月11日に八重山に接近といわれたが、実際11日頃は予測より西に行き、石垣島へは暴風域は届かない可能性が出ている。しかし、台風は読めないととらえるのが島の常識。今まで八重山に襲来した台風を知っていれば、安心はできない。
12日午前0時の台風14号は、台湾の南端とフィリピンルソンの間のバシー海峡の台湾寄り北東にあって、920ヘクトパスカル。最大風速は55m、瞬間最大数即は75mだから中心に近い暴風域はかなり危ない。
12日の12時には、石垣島の西240キロにさしかかる予報で、暴風域のサイズはほぼ半径85キロ圏内なので、暴風域には入りそうもない。
935ヘクトパスカルと、勢いは八重山から見れば通常化。最大風速50m、最大瞬間風速70mと気象台は発表している。昔は最大と瞬間の差は10mほど。中心近くだったら電柱はボキボキいく風速ではある。
といっても、安心はできない。台風だからどう進路が変わるかわからない。
台風銀座だった25年前は、毎年、7月から南からやってきて、ちょうど石垣島に向かって北上し、偏西風の影響で石垣島上空でゆっくり北へ方向を切り替える。いわば、ゆっくりと暴風を島に吹きつけて、サトウキビをなぎ倒し、繋がれた漁船やヨットをひっくり返し、車をころがして、倒木から木々の枝を道路に振り撒き、へたをすると流木を道路まで吹き飛ばす。
これが、一度来ると、同じ似たコースをその年に重ねてくるから、心底まいってしまう。
あの、コンクリの家に、ズンと不気味な揺れを体感させる瞬間最大風速60mクラスの台風は、停電が必定で過ぎ去った後は、電柱がボキボキ折れた光景を見せられたものだった。
最近、温暖化で明らかに台風のコースが変化している。昔はミクロネシアで発生し、フィリピン北部を通過したが、いまは近場で発しして、即北上して本土へ向かうとか、沖縄本島へ向かっていくなど、あんなに泣かされた台風に、最近は有難いことに嫌われている。
温暖化で台風の数は減るとされ、そのかわり大きくなると云われた。今、その通りである。
今回は、与那国島で40mクラスが吹く予報で、そこが被害の心配なところ。
午前2時頃から、激しい雨がはじまり、台風接近を告げる感じがいよいよ高まる模様だ。
11日は、漁船は早々に陸揚げは終了。店や畑小屋、あるいは親戚の実家と、台風対策の手伝いに、すでに風が舞う中でバタバタやっている様子が見られた。
この台風は、本土へ向かう可能性が見えてくると、テレビニュースに大きく出始める。
ある島人が云っている。コース的には、ニュースに出なくなったら、まず西にそれた証拠。そうすると石垣島には暴風域は来ないと。そう、先島よりも本土のニーズで報道されているのを知っての言なのだ。東によれば、またしつこく報道される。
それそうでも、島の台風対策はさぼれない。台風とは生き物のようなところがある。どう動くか誰もわからない。島に上陸され、何度も苦い思いをしてきたからだ。
今回、石垣島地方気象台がリリースした台風14号の説明書に、わざわざ台風の通過をどの場所で迎えたら、風向きはどう変わるかを説明していた。これははじめての試みだ。
ただ、どの方角がもっとも強くなるかが、書かれていない。そこが重要なのだ。
今回は、石垣島は吹いて23m。与那国島は45m。断然与那国は危険な風速。南から北へ吹く風が強くなる。真北に進む台風が左巻きで台風の右にあるのだから、進行方向に南風が加わるのだから、格別な強さだ。
(流杉一行)