平和学習を通して学ぶ “いままで”と“これから”

2020年6月12日(金)

晴天の中、石垣市立適応指導教室「あやぱに学級」・石垣市青少年センターの、児童・生徒が八重山戦争マラリアについて学ぶ為の学習が行われました。

新型コロナウイルス感染症対策の為、体調の確認、マスクの着用等の対策をしっかりと行い、
まず最初にむかったのは八重山平和祈念館。

八重山平和祈念館では、職員の田盛さんが案内をしてくれました。
戦争マラリアの話からはじまり、戦争中の生活など、資料の写真の解説や、あの時代の情景等を丁寧に伝えます。
児童・生徒たちは、真剣な面持ちで話を聞いていました。

取材させていただいた私も、学生の頃に授業で習っていたので知識としてしっているつもりでしたが、
日々少しずつ過去の情報が解明されていますので、新しい話をたくさん聞く事が出来ました。
終戦から75年。私の祖父、祖母の幼児期にこんなに過酷な八重山だったなんて、想像ができません。
児童・生徒たちも、真剣な面持ちで話を聞いていました。

資料の中の一枚の写真を前に田盛さんは、
「アメリカ軍には、殺した人も殺された人もいます。日本軍にもスパイだと住民を殺した人もいれば、住民を助けた人もいます。人というのはいろんな人がいるし、いろんな側面があります。戦争という殺し合いの場所にいた時に、みんながいい人でいるのは難しいと思います。自分だってもしかしたら、人を殺さないといけなくなるかもしれない。だから、戦争はしてはいけないんです。」と語りました。
また、田盛さんは参加した児童・生徒に三つの事をお願いします。
・戦争を体験した人に話を聞いて、メモ等を残し、
 自分の将来の子どもや孫など周りの人に伝えていってほしい。
・自分の頭で考える事をやめないでほしい。
・今は戦時と比べてご飯も医療薬も沢山あるので、しっかり食べて健康にすごして欲しい

この田盛さんの三つの願いは、今を生きる私達すべての人が行っていくべき事だと思いました。

八重山平和祈念館での資料見学・証言者のビデオ視聴が終わり、児童・生徒が次にむかったのは
バンナ公園に建てられている【八重山戦争マラリア犠牲者慰霊の碑】
ここでは黙祷を行い、【本当の幸せ】という詩の朗読と【月桃】を歌い、みんなで作った鶴をお供えします。

教室にもどったあと、みんなで感想を記入。


今日はいろいろな人が亡くなって、いろいろな人が悲しんで、苦しんだことを知って、すごく悲しくなりました。そして、どうしてこう(戦争に)なったんだろうと思いました。
(小学3年児童)

今日の平和学習をして、マラリアも戦争もこわいなと思いました。戦争は大切な人をうしなうかもしれないので、ぜったいにやりたくないです。
(小学5年生児童)

今日は戦争やマラリアの話を聞きました。戦争をしていた時代に生まれていた人たちは、きっとすごく大変だったんだなと思いました。もう戦争は絶対やりたくないです。
(小学5年生児童)

写真や体験者の話を実際に聞いて、とても辛かったけど、その分いろいろなことを学べてよかった。平和がこれからも続けばいいなと思った。
(中学2年生徒)

今がどれだけ平和か気づけてよかった。
(中学2年生徒)


など、戦争の怖さ、恐ろしさを学び、平和な今をつよく実感した様子。

戦争は二度と起こって欲しくない。その優しい気持ちをもてる素敵な皆さん、今回は取材させて頂きありがとうございました。

石垣市立適応指導教室「あやぱに学級」・石垣市青少年センターという場所

・自分のよさに気付ける場所
・他者との関り方を学べる場所

 
八重山平和祈念館であやぱに学級の所長 大濵さんにご挨拶をさせて頂いた時に、
「今回は、教育長の許可をとって取材を依頼しました。」と大濵さんは言っていました。
なにか伝えたい強い思いがあるんだ。そう思った私は、児童・生徒が教室に戻っている間に大濵さんにお時間をいただき、お話を聞かせてもらいました。

あやぱに学級という場所を知って欲しい

「引きこもりや不登校の問題が複雑になっている今、学校に行けない子ども達が増えています。また、8050問題も石垣でも現実化してきています。そういう中で考える事は、一人で悩まず、誰かに相談する事の大切さです。
そういう時に、あやぱに学級や青少年センターがある事を、保護者や、地域の人等多くの人に知ってもらわなきゃ。そういう思いが私の中にありまして。」

そう強い思いを語ってくれました。

安心できる場所で自信をつけて・・・

「いままではまわりの目を気にして、あやぱに学級や青少年センターに来る事や、連れていく事を躊躇するなど、ネガティブなイメージがあったという事で、通級や通所にかんして、色々な意見があったんですが、そうじゃないんだよ。安心して学べる場所なんだよ。どうしても学校に行けないなら、一時的な居場所として、遠慮しないでおいで。そして、色々な事を考えて、学び、または学びなおして、学校に行ける力を付けて戻ろう。そういう場所だと知って欲しいんです。」

大濵さんの言葉は、学生時代を八重山で過ごした私にはとても深く強く胸に響きました。
八重山という場所は、よくも悪くも狭く、また学生の内は“学校”という場所が私の世界のすべてでした。
でもそうじゃないんだと。ココ(あやぱに学級)がある事を、今、学校に行けなくて苦しんでいる子ども達に知って欲しいです。

(Mi)

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