4月6日午後2時から石垣市平得にある「ゆんたくガーデン」(大倉弘美代表理事)でスマムニ広め隊(東大浜剛代表)によるスマムニ講習会が開かれ、7名の会員が参加して熱心に八重山方言の学習をしていた。
スマムニ広め隊は、東大浜剛氏が5年前から主宰する会。方言が使われなくなっていく風潮に対し、なんとか残したいと、東大浜氏が方言普及に乗り出したのがきっかけ。
方言を教わりたいという人が集まり、学習会の開催をきっかけにスマムニ広め隊を結成。月2度の毎月第一と第三土曜に、ゆんたくガーデンにあつまってスマムニ講習会を開講している。
講師は東大浜剛氏で、毎回、テーマを決めて方言の学習を進めている。
この日は、前回実施した石垣市野底に伝わる「ヌスクマーペ」の昔話の方言学習を復習。
もう一度確認することで、この日のテーマ「つんだら節」を読む学習が、より分かりやすくできるという構造。
独自な発音でなる方言を、東大浜氏が注意事項を添え明瞭に発音することで、初心者にも聞き取りやすく、発音しやすい形で講義が進められていた。
この日は、野底の昔話「ヌスクマーペ」の読みを学ぶだけでなく、この昔話が実話とされ、歌に残り、人々の口伝で受け継がれてきていることを、本土出身の会員らは知ることにもなっていた。
「そうすると、この話は実話ですか」と改めて会員に問われて、東大浜さんもちょっとびっくりした様子。
集まった人が八重山の文化に感動しながら聞いていることがわかって、東大浜さんもうれしそうに講義を続けていた。
つんだら節が正確には「つぃんだら ぶすぃ」と発音され、つぃんだらの意味も「かわいい」と「かわいそう」という2つの意味があること。
歌詞の冒頭に「とぅばらーま」が出てきて、女性が恋人である男性を呼ぶときの呼称であることが述べられ、八重山民謡のとぅばらーまが、最初は女性の恋歌からはじまり、その後広範囲に歌われる民謡となったことも追加で説明。
また、同じく曲にある「かぬしゃーま」は、男性の側から恋人の女性を呼ぶ愛称で、安里屋ユンタの「つぃんだら、かぬしゃーま」を「死んだら神様」と、本土で言われたりするが、それは大間違いと、東大浜氏は教室会場を沸かせていた。
つんだら節の最初の冒頭部分が女性の側からの「あなたと私は子どもの頃からの遊び仲間」と歌い、それに応える形で男の側から「あなたと私は幼少のころからの仲睦まじい恋仲」と歌うと述べ、ひとつひとつの単語がどういう意味でつかわれるを、東大浜さんの広がりある方言知識でひとつひとつ解説されると、参加者はうなずきながら話に聞き入っていた。
3題目まで歌詞の意味を学習した後、参加者のひとりが三線で「ちんだら節」を歌って見せ、その後皆でちんだら節を合唱。
それぞれスマホに音を録音するなどして、歌えるように備えていた。
このあと、ビギンの「島人の宝」の八重山方言版の歌詞を皆で検討。
東大浜さんが案を提示して、実際に声に出して、歌いやすさを参加者と共に検証。こまかに修正をしていた。
このあと方言カルタの時間となり、まずこの日でほぼ50音が揃ったことが紹介され、さっそくカルタがスタート。
東大浜氏の読み上げる方言の単語に、絵と和訳名の頭の文字が書かれたカルタを見つけるというもの。「ンマ」と読めば「う」と書かれた馬の絵のカードが当たりとなる。
すぐに取る人がでないと、方言でヒントを出し、そこで気が付く人がとる恰好。
全員参加で、各人どれくらい文字を覚えているかを確認する場ともなり、仲良く譲り合いながらのカルタは大いに盛り上がっていた。
会では4月13日にヌスクマーペの登山を予定。この日は頂上でちんだら節を皆で歌うとのこと。
熱心な会員らの質問も飛び交い、会は和やかに進行。方言を通じて八重山の文化に触れることで、楽しいひと時を過ごしているのがよくわかる会となっていた。
参加者のひとりは、八重山方言には昔の古語が残っていて、学習する意義は大きいと思うとも述べていた。
なお方言を伝え隊は、これまで大浜一番地などの老人福祉施設で慰問を実施しており、そこで方言で歌う曲を披露。方言に長けたお年寄りから喜ばれているとのこと。
5月27日には白保のゆりヶ浜の慰問を予定している。なお次回の開催20日を27日に変更することが決まり、次回は27日開催とのこと。
(流杉一行)
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