3月1日から3月31日まで南の美ら花ホテルミヤヒラのフロントロビーで、美ら花グループ主催、石垣市観光交流協会後援による、宮地竹史「やいまの美ら星」写真展が開催されている。
ホテルロビーへ入って、左へ向かう回廊に21点の写真が展示されている。
主に天の川が、サガリバナやウージ(さとうきび)、ひるぎ、チャペル、遠見台、準天頂衛星「みちびき」石垣島管制施設などといっしょに写され、星の専門家だけに天の川をひときわ鮮明に撮影してある。
そのため、銀河系の中心の場所に当たる、「く」の字が浮き出る文様周辺が、どの写真にもクッキリ共通して確認できる。
太陽系が所属する銀河団が、かくも鮮明に写された写真が、これだけの数、揃って見られる写真展は、まずあり得ないといえそうだ。
宮地氏は、1948年生まれ、高知県出身。1968年国立天文台の前身、東京天文台に入台。2002年のVERA石垣島観測局を機に石垣島の「南の島の星まつり」などの星のイベントを企画。2006年の石垣島天文台完成時には副所長。2013年から所長に就任。2016年国立天文台を退職。
その後は、美ら星ガイド・アドバイザーとして活躍するほか、石垣市観光交流協会石垣島宣伝部長、石垣市文化協会星文化部会長、竹富町ちゅら星の会「星空案内人講座」講師を務めて、八重山における星の紹介に精力的な貢献をしている。
「やいまの星空には、日本でもっとも美しく、もっともたくさんの星々がやさしく輝いています。また、これらの星々には、いろんな言い伝えや、物語があり、民話や古謡、踊りなどにもなり、またそれらを裏付ける星見石や星見の場所、御嶽なども残っています。これらは「星文化」、「星の文化遺産」といえるもので、これほど島の人々に愛されている星空もありません。」と、宮地氏はオープニングセレモニーのあいさつで述べている。
「今回のような本格的な写真展はじめてです。昨年、嘉弥真島で星空イベントを実施した際、美ら花グループ(CEO宮平康弘)さんから写真展をしてはと、薦められて実現しました。」と宮地氏。
きっかけ自身が嘉弥真島で披露した星の写真だったとのこと。
「天の川」のほかにも、先島だけに見られる一等星「アケルナル」の写真もあり、南十字星に次ぐ、八重山で見られる星の確認も、この展示会場でできる。
ここ4年ほど前から天体好きの間で話題の銀河系団(天の川)がアンドロメダ銀河と50億年後に衝突する話がある。そのアンドロメダ銀河が写る写真もここに展示されている。
天の川を「てぃんがーら」と、島の方言で表記されており、八重山で昔から島独自に名がつけられていたことが、わかる写真展でもあり、島の星好きには、たまらない展示だ。
南十字星の隣に並ぶ一等星2個(ケンタウルス座のアルファとベータ)が、昔は「はいがぶし」という名で呼ばれて、航海する際の南の方位を確認する星として利用されていたことも、宮地氏は説明していた。
21点の写真の撮影場所も、玉取崎、平久保、小浜島海人公園、石垣やいま村、宮良川河口、野底と、八重山の各地で撮られており、氏の撮影場所選びのフィールドの広さが窺える。
作品に見る星の鮮明さは、露光時間の短さを示しており、最高の短さで鮮明に撮影する試行錯誤が、八重山の闇夜で格闘され、かく得られた写真だと思うと、何度も見入ってみたくなる写真といえ、宮地さんの熱い思いが伝わる写真展だ。
(流杉一行)