10月5日午前11時、石垣市教育委員会教育長室で書家の茅原南龍氏から石垣市教育委員会へ書が寄贈された。この日、茅原南龍氏が主宰する茅原書藝会の弟子の新城華秀さんや前木秀靖さんら関係者4名が茅原氏の書を持参して、石垣安志教育長へ茅原氏に代わって預かった書を贈呈した。
ことの発端は、昨年石垣市教育委員会を訪問した南龍氏が石垣教育長に「教育の指針となる言葉があれば書かせてほしい」と教育に関する書の寄贈を申し出られ、茅原氏から書く文字を指定してほしいと依頼され、今年7月の石垣市制70周年式典の日に再会して、「雲外蒼天」の文字を伝達。この約束がこの日実ったことになる。
その意味を説明する石垣教育長は、「雲の中では霧がかかって前が見えない状態でも、自分の目指した方向へ進み続ければ、必ず青い空の下にたどり着けるという意味で、誰もが困難に遭い苦しむことがある。そんなとき、このままでいいのだろうか。本当に、目的が達成されるのだろうか。もうあきらめようとか、何をやってもうまくいかないことがある。ものごとにはかならず出口がある。解決策があるはずです。もし、ひとりでだめなら、誰かに相談して、そこから新たな道がみつかるでしょう。」と、この文字を選んだ思いを述べていた。教育となれば、「忍耐」や「勇気」といった定番の美しい標語が出やすい中、受験生や物事に挑戦する子ども達の側から見た、励ましの言葉には、深さがうかがえる。応える南龍氏の書も、気迫溢れた、見事な仕上がり。ただ、すばらしい書であるがために、また教育長室の狭さも手伝い、どこに飾るかはまだで未定とのこと。
(流杉一行)