8月28日は旧盆の迎えの日。八重山の仏壇持つ家々では、この日に向けた供物を用意して飾り付けられた仏壇とともに、各家々ごとに様々な形で旧盆を家族勢ぞろいの下、3日間を過ごすこととなる。
石垣島では、いしゃなぎら、新川、大川、登野城、真栄里、大浜などの青年会がアンガマを披露。依頼を受けた家々を巡って、仏壇前に賑わいを生み出し、家々の御先祖だけでなく、集まったギャラリーを含めて、多くの人びとを喜ばせていた。
前述の6つの青年会だけで3日間79の家々の会場でアンガマが披露される。昨年は制限の下でアンガマが実施されたが、今年の旧盆は2020年のコロナ禍中止から4年ぶりとなる久々の制限無しアンガマとなる。
登野城では午後9時に知念清吉さん宅の仏壇にウシュマイ、ンミーと約20名のファーマーが登場して、庭に集まったギャラリーが続々来場。道路いっぱいに詰めかけた人で埋まる盛況さで、制限のないアンガマを堪能しようと地域の人に混じって観光客らしき人も見られ、かなりな数が知念家を取り囲んでいた。
どんな催しがあるのか、皆目見当つかないままに来ている観光客もいて、スマホを用意して、記念の撮影に興じる周囲を見ながら、期待している模様。
やがてウシュマイがンミーとともに門から来場。引き連れてきた花笠姿のジカタ役のファーマーおよび踊りてのファーマーの20人近くの隊列に、観光客も驚いていた。
一番座、二番座に上がり込んだアンガマ一行は、ウシュマイとンミーによる焼香がおこなわれ、知念家の御先祖にこれから踊りなどを披露するので、ゆっくり楽しんでくださいと挨拶をして、踊りと問答を披露。家主、家族、ギャラリーを大いに喜ばせて、仏前を沸かせていた。
家主の知念清吉さんは、2007年から2012年まで八重山古典音楽大濵用能流保存会会長を務める民謡の重鎮。地域で実施される豊年祭や旧盆、節祭などの芸能ではジカタを担ってきた人でもあり、八重山の伝統芸能を支えてきた張本人。制限なしのアンガマ復活をじっくり堪能しているかに、青年会のアンガマの音に聞き入っていた。
明日は、中日。八重山の旧盆は制限なしの空気から、アンガマの問答も磨きがかかって、賑わいも頂点に向かうか。
来場者に観光客が多く見られる傾向は、制限無しで足を運ぶ人が増えたからかも。
ただ、問答が方言でこなわれるためか、問答の半ばには人影も減り、何を言っているかがわからない以上、そこは仕方がないかも。観光客も移住者も、方言を学ぶ場がほしいところか。
(流杉一行)