初出場でV 男子西川 女子川崎 第19回石垣島マラソン

 3月20日午前8時半、石垣市中央運動公園で第19回石垣島マラソンのスタートが切られて、石垣路42・195の陸連公認コースフルマラソンがスタートした。

 今回は石垣栄誉市民でもある具志堅用高氏の合図でスタート。

 昨年はコロナ禍で実質中止となり、仮のオンラインでの大会が設けられたが、今年はスタート前のPCR検査を参加アスリートに義務付けての大会を実施。コロナ禍でも開催可能な実績を積み上げて見せていた。

 毎年、1月に実施されるマラソンでもあり、また3月の石垣島の暑さを気にするアスリートの声も聞かれたが、それでもフルマラソン621人、ハーフ368人、10キロ488人の計1477人が、亜熱帯の3月の日差しと風の中、石垣路を走り抜けていた。

 フルマラソンの男子優勝は、西川朋秀さん(21)、女子優勝は川崎望さん(43)。二人とも初参加での優勝。しかも二人ともマラソン初優勝での初尽くし。亜熱帯の石垣島ゆえに通常1月に開催してきたマラソンだったが、コロナ禍で延期から試みた初の3月フルマラソンとあって、ここまで初が重なるのも、コロナの影響といえるのかも。

 西川さんは、琉大農学部の3年生で陸上部。陸上競技の5000m、1500mのトラック選手で、最近マラソンに挑戦を始めて今回2度目。最初の沖縄マラソンでは2時間45分だったところ、今回は2時間33分30秒とベスト記録が出せて優勝となった。

 前半は快調に走れたが、後半にトップに立ち独走となってはきつかったと、日差しや向かい風でタイムが落ちたという。初優勝ができたことは、自身驚きをもって喜んでいた。今後の目標を聞くと、そこはトラック競技で県陸上競技大会での入賞と、控えめな応えだった。

 女子優勝の川崎望さんは東京出身。東京マラソンの第一回大会からの15年キャリア持つマラソンアスリート。2週間前の東京マラソンも走ってきている。これまで50回以上はフルマラソン大会を経験している。旅を楽しみながらのマラソンだとも。

 レースは、自分のペースを大事に走り、抜かれても気にしないで走ったという。
 登りが苦手で下りが得意ゆえ、トップに立っても抜かれた時は登りで、抜き返したのは下りが終わった当たりだという。30キロ以降はきつくなって、そこでは頑張ったという。

 大規模開催の東京マラソンの直後の石垣島マラソンを、「ほっこりしてよいと思う」と、石垣島マラソンに好感を示していた。毎日、5キロを25分くらいで走り続けるのが日課とも。次の目標は、一か月後の茨城県の霞ケ浦マラソンに出て、ベスト記録を出すという。目下のベストは3時間23分とのこと。
 
さて、今回の開催は変更が多々あった。
 1月開催予定時点であったコースの変更は複雑で、フルとハーフの分岐点が微妙に変わり、交通事情も配慮する側には、影響が出ていた。

 また、これまで9時の時報が、8時半の号砲スタートとなり、スタートから運動公園を一周するフルに対し、ハーフは1周しないで通過する新分岐点や、みねやの三叉路での分岐点は、片側を走る車の側見れば、アンパルから市街地への上りの道が塞がれてしまい、車の長蛇の列が発生。これは新川川にかかる新川公園近くの交差点でも発生していた。

 また10キロスタートが9時スタートとハーフから30分遅れなために、ゴールがハーフとかぶる時間が増えた。しかも、3月の日差しは10キロ選手にはかなり響いて、交通渋滞とかぶる時間が長引いていた。

 今回の変更は、これまでのコース取りがいかに上手にできていたかを知らされるものと言えた。

 元バイパスと整備中の空港バイパスの交差点までコースをひっぱる意味は、あるように思えない。

 海の風と風景を楽しめる石垣路が、市街地と前勢岳をぐるりと回るハーフマラソンは、陸路オンリー。19回重ねて、石垣路のよさを伝える意識がなくなっているのだろうか。

 市街地の市民の応援の声も大事だが、風景は何物にも代えがたいもの。この景観のアピール度の低さは、残念である。

 1月を3月に切り替える時点で、気温の上昇が目に見えて気になるところだったはずが、ゴール前の医療班の姿は見られなかった。暑さを考えれば、関係各所から声が出るなり、配慮は生まれておかしくない。その声が届かないのはちょっと不思議。

 地元のマラソン経験者から、声が出ないわけがない。
 スタート時に、ひとりのアスリートが今回走らないことを決めていた。そして石垣島の暑さに驚いていた。「いやぁー、暑いですね」1月の気温がちょうどよいと言っていた。

 10キロクラスの4月のトライアスロンとは、マラソンは次元が違う。相当な配慮が必要となるのは必然。実際、目に見えないところでされていたのかもしれないが、とくにかく程よい寒さの1月に走る気になっていた人が亜熱帯の3月の走るのだから・・・。
 (流杉一行)

フルマラソン女子3位は地元出身の宮島萌さん

 8年前に、八重山毎日駅伝で活躍し、全国女子駅伝にも沖縄代表で参加するなどした宮島萌さん(24)が、フルマラソンの女子3位に輝いた。沿道で見かけた人や、SNSで知った人など、地元では話題となっている。

 宮島さんは今回初の石垣島マラソンでタイムは3時間51分56秒。

 「高校時代は挑戦したかったが、高校陸上部は大会のサポートがあって参加ができなかった」という。

 東京での進学先を卒業して沖縄に戻り、今回、久々に生まれ島を走った宮島さん。
 走行途中に「知人が声をかけてくれてうれしかった」と、沿道の声援の多さが思いがけなかったという。

 沖縄本島で開催のスパルタンレース(障害物競争)でも優勝経験を持つというから、ただ者ではない。「来年も出たいです」と、来年の石垣島マラソンにも意欲も見せていた。


              写真中央のナンバー71が宮島さん

 意外なことに宮島さんはヴィーガン(徹底した菜食主義)で肉・魚・卵・蜂蜜と、動物性たんぱく質を一切取らない主義だという。

 なにより、それでフルマラソンが走れるタフネスには驚かされる。植物性たんぱく質だけで、競技に耐える体力を維持できるとは、普通は思えないが、実際にフルマラソンを3時間台でゴールしているのだか凄い。しかもヴィガン食を日々調理をして食べ、日々鍛錬もしなければ、走れない。

 地球温暖化かが叫ばれる現代は、牛のゲップさえ温暖化の原因にあげられる時代。肉の消費量も抑えなければならない空気は、少しづつ来ている。遠い将来は、人類はいろんな自己管理ができなければ、いけないとすれば、宮島さんは進むべき将来の模範に見えてくる。

 「ヴィーガンでもフルマラソンをしっかり走れるのを見せたいです。人口の半分がヴィーガンになれば、地球温暖化阻止にも貢献できるんです」とは、宮島さんのメッセージ。

 記者は、フルマラソン以上に、難関だと思ってしまったが、自身の腹囲からすれば、肉を控える必要はある。肉無しで元気が出る方法が知りたいところ・・・だが。

この記事をシェアする