八重山で旅鳥・冬鳥の渡りが始まるのは、およそ7月末あたり。まずシギやチドリ類が飛来してくる。北風は9月16日頃だから、遥かシベリアなどから南下する彼らの飛翔能力は、想像を越える。
随分前のことだが、8月に八重山に飛来する野鳥を追いかけて、日本最南端の波照間島に来た大学生グループを見たことがある。若い愛鳥家は、やることがダイナミックだ。いろんな場所で、飛び去るシギチドリを記録すれば、やがて種類ごとにルートが見えてくるデータにもなる。大学生らしい熱心な彼らの夏休みの使い方だ。
繁殖地のユーラシア大陸北部から越冬地の東南アジアやオーストラリアまで旅をする途中に、日本に立ち寄る野鳥の最初の種類がシギ・チドリだ。
渡りの序段の飛来で最初に目につくのがセイタカシギ。これが水辺や水田に降り立つと、まず真っ赤な長い足が映えて、周囲にいる地味なヒバリシギには、気が付かないことがある。このもっともポピュラーな渡り鳥からはじまり、ムナグロ、キアシシギ、アカアシシギ、チュウウジシギ、タシギ、ヒバリシギ、イソシギ、タカブシギと様々なシギ・チドリ類が飛来する。そうして8月下旬に、これまでの水鳥系の渡りが本流だったところに、野山系の最初の野鳥が来る。それがいつもツメナガセキレイ。これが飛来すると、秋の到来を告げるとされる。
ツメナガセキレイは、爪が長く足が黒い。これに似たキセキレイは足が肌色で、そこで見分ける。2019年にはなぜかキセキレイが先に飛来して驚かされたが、これも温暖化の影響なのか。今年は、8月下旬に飛来している。ただ、まだ数が少ないので発見は難しい。
写真は浦田原の休耕田で8月30日に見つけたもの。これから二期作用の水田に水が入るので、ツメナガセキレイが好む田んぼが少なくなるが、その方が休耕田が目立ち、発見は早くなるかも。
(流杉一行)
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