6月25日、沖縄県に2例、新型コロナウイルスのデルタ(インド)型変異株が入ったことが判明。これで4例目。今回の2例の内の1例は八重山に観光で訪れた40代女性。
PCR検査後に、結果を知る前に航空機に搭乗して八重山に入って後に陽性判明。しかもデルタ型。本人は県立八重山病院に入院。
かりゆし病院長の境田康二医師によれば、デルタ(インド)型変異株は、感染力が英国型より強く、これまで新型コロナウイルスが1m以内の濃厚接触者を特定して追いかけてきたが、その1mは2mにまで広げなければならず、そこには「濃厚」な密ではなく、2m離れた場でも、感染リスクが発生する次元となる。濃厚かどうかは問題外になる。
境田医師は、これまで新型コロナウイルスが熱発することで判明したが、変異株が鼻水だけといった、通常の風邪とかわらない症状なため、PCR検査のきっかけが遅れてしまうともいう。
「この感染力の強さを踏まえると、マスクは2重にしなければならない日が、やってくるかも」と境田医師は述べていた。
なお、医療関係者は、すでにマスクは医療専用のN95を付け、それにまた医療用マスクを付ける2重マスクで対応しているとのこと。いつ、デルタ(インド)型の罹患者が来ても、感染しないためには必要なことのようだ。
これは、簡単に追い切れると考えてはいけないコロナと考えるべきかも。
また境田医師は、「デルタ(インド)型変異株はウイルスを出す量が多い。出している期間も長い。重症化しやすく、若い人も重症化する。」
そして「最初の頃はワクチンが効きにくいという話があったがファイザーの2回打ちは90%大丈夫というデータが出たので、デルタが広まる前に2度のワクチン接種を終らせる必要がある。デルタが広がる前に接種後(抗体ができる)2週間をむかえることが大事だ」と述べていた。
さて、話を戻すが、石垣空港に降り立った40代女性は、2時間以上(羽田からなら3時間)旅客機内で過ごしていることを考えると、まず感染が危ぶまれる。空港待合エリアからはじまり、搭乗したなら乗務員への感染リスクがあり、乗客は勿論、降機した後空港内ですれ違う人が危ない。
もし、機内で移された乗客がウイルスを1時間で増殖させて、人と話をして飛沫が飛べば、そのリスクも発生。これでは、追いきれるとは思えない。
飛行機の到着時間と、その時間帯にいた人。その時間に商品などの物資を搬入した人、売店の店員、交通機関に関係した人の、その時間帯に人を運んだ人。それこそ、どれだけの保健所の人員で彼らを特定し追い切れるか。
到着時刻を公表して、PCR検査を推奨すると、どれだけ多くの人が連絡してくるか。その前に電話回線がつながらなくなるかも。パンクするしかない。
となれば、どう対応するか。行政関係者は、議会に追われ、ワクチン接種に追われ、接種券の発送に追われ、追うのに加勢できるどころではない。
一方、この日の八重山事務所が発表する新型コロナウイルス陽性者の発表には、ひとりの40代男性の発表はあっても、この40代女性の件には何もない。
八重山事務所発表の石垣市在住の40代男性は感性経路が不明。一週間以内に沖縄本島への渡航歴があるとのこと。行動の詳細は調査中。たったひとりの陽性患者の情報も、発表できる内容は本庁に制限されていることは確か。追っているというコメントは聞けても、中身を4月以降、聞いたことがない。
八重山事務所は「以前よりもウイルスの感染力が強くなっている可能性から、『患者数が少ないので会食をしてもよいだろう』と考えるのではなく、自身や家族、友人を守るために、会食の自粛やマスク、換気、手洗いなどの感染対策の理解と習慣化をお願いする」とコメントしている。
またこの日、午後6時半から石垣市役所庁議室で記者発表が行われ、昨日の陽性者の2名からデルタ(インド)型の感染が出た件と、その拡大の可能性が中山義隆市長から述べられ、移入を防ぐための行動が必要と述べていた。
今年5月からの約一か月で297人の感染者が出たアルファ(英国)型の感染力を知って、なお強いインド型の移入に関して、注意喚起する市長だが、本日判明した八重山管内に入った観光客のデルタ(インド)株の情報は、県保健所に任せるしかないのが実情。
ここには、かつて八重山支庁があった時代からすれば、隔絶のものがある。
県からの八重山への情報に関して、責任を持つ八重山支庁長がかつて存在し、素早い動きを県職員へ指令して、対応した。
今は、県本庁サイドの各部の発表があっても、詳細は伝わってこない。否、県庁ではやっているのだろう。聞きに来いということ。400キロ飛んで来いと。
また、速報性が必要なものも、正確さを理由に時間がたってからの発表となる。実に残念な状況が生まれている。これが効率化、省力化の名目でなった最南端八重山の扱いなのか。八重山に暮らす人は覚えておかなければいけない。しかしそこを言いすぎると、県職員が過労するだけのこと。
なお、この日の石垣市の会見では、7月1日から観光客に対して、石垣島への来島前のPCR検査または抗原検査の陰性かワクチンの2回接種完了の証明を求めていくとしている。
そして、市民へは5日以上の郡外への旅行や出張に出られた場合、PCR検査を受けてほしいと述べ、また日帰りや2泊3日などの短期の旅行には帰島後、最低1週間は飲み会への参加は自粛して、発熱などの体調異常にはすぐに石垣市の新型コロナ外来への連絡をしてほしいと述べていた。
コロナ外来での話で医師がPCR検査の必要性を述べた場合は必要な措置をと、市民へ協力を求めていた。
なお、7月9日から64歳以下のワクチン接種が始まる件で、集団免疫を獲得するためにも1、2週目から可能な限り接種を受けてほしいとも述べていた。
8月19日には一般集団接種も終了するとして、9月にはほとんどの市民が抗体を持っている形になるとのこと。
このほか、6月27日の高齢者ワクチン接種終了と一般集団接種開始の間で、基礎疾患ある人や、人との接触機会が多い業種への先行接種を実施するとのこと。
対象業者は公共交通機関(バス・タクシー)、観光フェリー、観光バス、空港カウンター業務、ホテル、郵便局、八重山事務所(コロナ宿泊療養施設従事者)、スーパー、コンビニのレジ担当、産業廃棄物ゴミ収集者、葬儀者、獣医師、インターハイ等の全国大会に出場する高校生を予定しているとのこと。
本土のように、大企業接種で家族から恋人まで束になって接種してワクチンが不足した事態は、起こらないはず。家族もいっしょでも数が知れている。
ダイビング業者、飲食業、社交業へは先行して接種券を配布して、一般集団接種の際に接種してもらうと述べていた。
なお、6月29日に接種券は発送するとのこと。7月5日から予約を開始し、コールセンターへの電話予約、市のホームページ、市の公式ラインなどから予約をする形となる。
なお19歳から34歳の集団接種は7月20日頃届く予定で、7月29日までに一回目接種をお願いしたいと述べていた。
(流杉一行)