パインマンゴー出荷式 怖いのはコロナと台風

 6月24日午後1時から八重山郵便局の裏口でパインマンゴー出荷式が開催され、パインマンゴー農家や郵便局、JA、航空会社、行政などの関係機関の関係者が集まり、内外に八重山からのパインマンゴーの出荷がはじまったことをアピールした。

 冒頭、八重山郵便局の島仲貞克局長が挨拶に立ち、甘くて美味しい石垣島のパインマンゴーを夏の贈り物として選んで頂けるよう、お願いしたいと、述べていた。

 また、輸送に関してはこれまで減便が続いていたところ、7月には東京便などで中型機が飛ぶ話も出て、コロナ前からあった7月の繁忙期の対応は、大丈夫そうだと述べていた。

 この日、ゆうパック友の会の上間昇会長は、
「今年は新聞で8割だと書いてあったのは、早出しのボゴールやピーチのことで、ハワイ種は昨年同様です。むしろ大玉で送るのに困るほど大きく育っています」と、八重山で本格化するハワイ種の生産状況に一言加えていた。

 上間氏は「出荷式は例年梅雨明けしておこなわれているが、今年はまだ梅雨明けしておらず、昨日も雨でした。ただ、もうすぐ梅雨明けすれば、強い日差しの下、パインの糖度があがり、おいしいパインが期待できます」と、梅雨明け後の亜熱帯八重山の日差しがパインをおいしくすることをアピールしていた。

 もともと、缶詰工場向けの栽培から始まって、工場が林立した後、外国産缶詰に押されて工場が閉鎖。2000年に最後の宮原工場が閉鎖され、パイン農家は意気消沈していた。そんな中で、川原集落の川原婦人会が加工しないパインを販売したのがきっかけで、評判となった。2年がかりの栽培となるパインだけに、パインは缶詰しか知られていなかった時代に、この挑戦は多くの人を奮い立たせ、贈答品に活用の途が広がった。今や石垣島のフルーツの代名詞的な存在となっている。

 なぜ八重山のパインは甘いか。それは沖縄本島より2度ほど平均気温が高いことで、その糖度が高くなるとされていた。

 缶詰しか知らない世代にすれば、パインが缶詰にしなくともこんなに甘いかという声が上がった。そして全国で脚光を浴びてきた。昨今は、温暖化の影響で、甘くおいしいパインができるエリアは北上しているのは間違いないところだろう。ただ、八重山もなお気温が上がっており、ハワイ種以外のパインも好評となる理由もそこにありそう。

 実は、ハワイ種は缶詰用のパイン時代の品種で、7月にできるハワイ種が甘くておいしいことで、毎年そこに殺到。そこで7月より前に早く出せる品種をと、ボゴールパイン、ピーチパインなどが出てきた。7月に輸送能力を越えるために、航空便で送れなくなる障害がおこっていたためだった。

 また、8月に入るとハワイ種は酸味が強くなるために、それ以降も甘い品種が必要となる。

 いわばハワイ種の代用のパインがその他の品種のパイン。未だに、甘さと酸味のバランスがよく、おいしさを問われてその名が出るのはハワイ種だった。
 
 昨今は、ゴールドバレル、サンドルチェ(P‐17)など、パインの枠を超えた甘さが目立つ品種も出ているが、そこは値段が破格になる。

 安くておいしいパインの代名詞は、やはり7月のハワイ種のパインなのだが、梅雨明けの太陽の光が糖度を増させる、7月ハワイ種が、いよいよ本格的に仕上がってくる時期にきている。

 さて、昨年も規模を縮小しての出荷式で、2年連続してコロナ禍に備えたものとなったが、郵便局としては、小規模でも出荷式が開催できたことを喜んでいた。

 元来、表立ったイベントが自粛される傾向のなか、贈り物や物販の通信販売は好調で、見えないが好調な業種のひとつに宅配はなっている。

 目標はパインが4万個、マンゴーが1万個と、昨年同様なのは、少し不思議な感じもしてしまう。

 おいしいパインを食べて熱い夏を乗り切ってほしいという上間さんの声は、コロナ禍の中で厳しい経済の実情を時間してのこと。

 「コロナと台風以外に怖いものはない。」と断言する上間さん。昨年も、7月にコロナの蔓延はないように願いたいといっていた。昨年は、運よく7月にコロナ陽性が出ず、台風もなかった。ただ、7月が去った8月1日に確定した陽性患者からクラスターへ展開。ワクチンが遠かった頃だから、不安がつのったものだった。

 さあ、ワクチン接種が9日から始まりもする。今年はどうなるか。

 パインマンゴーの送付申し込み受付が、局内ではパンフレットにある紙に住所を書き、郵便局窓口で支払う形となっている。

 ゆうパック友の会のものは、郵便局前の、さだとし商店そばでテントを張る女性陣が担当。そこで受け付けている。

 川原婦人会の方は、各郵便局で「夏味づくり」のパンフおよび、「ふるさと小包」の中の申し込み書で、注文する模様。

 コロナの影響で、担当する人を介しての発送でなくなる格好だが、単に効率化をすすめているかにも見えて、世相が向かう方向性が、ちょっと寂しい。

 (流杉一行)
 
 

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