ビッグな「海の宝石」「海のダイヤ」・・・、本マグロ(クロマグロ)のシーズンが来ている。
3月下旬に石垣島の市街地のサシミ屋にはマグロが不足するシーズンが来る。マグロ船がトンボマグロねらいから、キハダマグロおよび本マグロねらいに、その照準を切り変え、その準備のためである。そうして八重山漁協の各マグロ船が本マグロねらいに出港する。
4月4日午前7時30分、石垣市新栄町の新栄漁港八重山漁協の荷揚げ場で今期初となる本マグロの水揚げ行われた。
聞きつけて集まった関係者やギャラリーが見守る中、船倉からウインチでつり上げられた「海の宝石」が姿を現すと、周囲からどよめきが起こった。やはり、毎年見慣れていても、約1年ぶりの巨体には思わず声が出るようだ。
船員や船長、オーナーが記念撮影をした後、海の宝石の計量が行われ189キロと秤が示していた。
延縄漁でつり上げたのは第一あずさ丸の船長の比嘉隆さん(54)。多良間島の北30キロで3月31日に捕獲したもの。生きた状態で釣り上げられている。
本マグロは、肉の状態を確認して、東京・豊洲市場へ送付された。
八重山で今期初となるこの本マグロを水揚げした比嘉船長は、4年前にも初水揚げを遂げている。ホンマグロ漁は19年のベテランで船長歴は15年。
「最高の気分ですね。今年はいい年にしたいです。」と、4年ぶりの初水揚げを喜んでいた。
目下、太平洋の本マグロは、その資源回復を図るために、中西部太平洋まぐろ類委員会での国際合意に基づいて、日本政府が平成22年から管理強化を実施。
八重山では2018年7月に八重山漁協で説明会がおこなわれ、沖縄では本マグロ親魚が2019年4月から年間100トンの制限化に置かれてスタート。
2020年からは127・2トン。コロナ禍ゆえにウェブ会議で行われた中西部太平洋まぐろ類委員会で、2021年は同値の127・2トンと制限枠が決定。
この大型魚の127・2トンの割り当ては、4月1日から7月31日の前期では113・5トンが知事管理漁獲可能量となる。沖縄県で7月31日まで捕れる量が113・5トンとなる。
本マグロ漁はハーリーまで実施するのが通常だが、昨年はハーリーが来る18日前に制限値に到達してストップ(6月6日)。今年のハーリーは6月13日だが、制限がかかることを考えると、争奪戦的な漁になることに。
とはいっても昨年は、八重山漁協から550匹の本マグロを水揚げしており、過去4年では最高の本数を揚げている。ただ、コロナ禍の影響で航空便数が激減し、また島外での市場も価格は下がる傾向から、厳しい状況に陥っていた。
沖縄県や石垣市が臨時便や貨物便のチャーターを実施するなど、輸送に尽力したものの、水揚げの量が多いことで、豊洲行きになる高品質の本マグロが島内で溢れ、さしみ屋で安価に販売される現象が、島で初めて起こっている。
市民にはうれしい食卓になった一面もあったこととなる。いずれにしても、島の観光が厳しい時期に、第一次産業が栄えることは、島民が活用すれば島内のキャッシュフロー(現金流通)が高まることにもなる。豊漁に期待したい。なにより本マグロ初水揚げは、うれしいニュースだ。
まだ続いている大都市部での増加傾向のコロナ禍は、先行き厳しいものを感じるが、ワクチン普及で、沈静化へこぎつける流れに期待したいところ。
変異種が増え出す傾向も生まれつつある中、先はまだ見えてこないものの、オリンピックの聖火も各地で受け継がれはじめて、全国的にワクチン効果に大きな期待が集まっている。
(流杉一行)
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