3月1日、八重山の県立3高校の卒業式が開催された。昨年もコロナウイルス感染拡大を避けるために、在校生なしでなるべく短時間に済む配慮をしながら卒業式が挙行されている。
八重山高校では73回目の卒業式を迎えた。会場となる体育館そばで消毒と体温測定があり、出席者の父兄のチェックを徹底。
体育館内では座席にナンバーがあり、どの席に座ったかを申告する用紙に記入して、それをそばの回収箱に入れることで、万が一に備えます。
密を防ぎながら多くの父兄が参加して、高校卒業の瞬間をこの目にしたい両親が会場に揃って、卒業証書を受け取る様子を見守っていた。卒業生は213名。
第52回目の卒業式となる八重山商工高校でも、体育館に父兄の入場の際は体温を測定。
在校生のいない卒業式ながらも、卒業認定を波平校長から宣言され、ひとりひとり卒業証書を渡されていた。卒業生は116名。
第82回卒業式と最も歴史持つ八重山農林高校では、昨年はメディアの取材を禁止したが、今年は可能にして対応。卒業生は79人。
入場者の体温測定をして、出席者の名前を記入してもらうなど、コロナ対策をとっていた。
2年前にはあった、先輩格の卒業生や後輩の在校生が校門に現れて、プレゼントのやりとりに賑わう光景は、卒業式の時間帯では見られていなかった。これまで島出身者の高校生時代に続いていた先輩後輩の関係の形に、コロナ禍が影響するとすれば寂しいところもある。
八重山高校では、卒業生のひとりひとりの短歌が掲示され、卒業への思いや学校生活で印象深かったことを表現していた。
父兄らは高校生がどんな気持ちで卒業を迎えているかを確認できて、なかなかのコーナー。なかには、「我慢、我慢」と自粛の日々を綴るものもあり、期せず見舞われたコロナ禍への心情を記すものもあった。
かつて八重山農林高校では、牛や馬とともに卒業する光景がみられたりもしたが、そんなほほえましい農業系高校らしい行事は、見られなかった。学校関係者らも聞いたことがないという様子には、ちょっとさみしい。
コロナ禍の影響で、一年を通じて感染拡大を気にしなければならない3高校には、苦労の多かった一年に違いない。そこは生徒も同様で、教育への影響こそ、もっとも及ぼしたくない部分に違いない。
2020年は先が見えないまま硬直した年であった。まだ続くコロナ禍で、緊急事態宣言が首都圏3都県以外で解けたばかりのこの日に、旅立ちの時をむかえた卒業生。先行きは見えないが、卒業生に幸あらんことを誰もが祈った日であった。
(流杉一行)