心配をよそに 羽田便が1日1便の連日就航 ANA

 6月16日、午後2時30分着の羽田からのANA091直行便が石垣空港に到着した。本日より連日1日1便就航する。石垣発羽田行きの15時半出発の092便も同様に就航する。

 この日、飛来したボーイング767-300中型機(270人乗り)から降り立った117名は、約3時間のフライト疲れも感じさせず、空港出口の発熱をチェックするサーモの前を、間隔をあけて通過していた。

 県の係員の「表面体温を測っております」という掛け声や、石垣市の関係者から「石垣市からのお願いです」と、パンフレットを差し出されていた。

 ほとんどが、理解ある様子で気持ちよく受け取る人がほとんど。笑顔で受け取る人もいる中で、逆に黙って手に取るだけでなく、マスクをせず、持っているからとマスクを差し出す係員の声もさえぎり、歩き去る人も2人ほどいて、東京の雰囲気そのままに、レンタカーの乗り合いバスに乗り込む人も見られた。最初から、島で孤立する構えのようにさえ見える。

 長い滞在を計画する家族連れ観光客は、カートに積んだ荷物とともに現れるも、一人で軽装のゴムゾーリ姿で訪れる人もあり、ビジネスで訪れる背広の人も見られて、様々な人が入島しているのがわかる。

 人目を気にしない大都市東京の空気から人の流入は、コロナ危機という尋常ならざる事態だけに、心配は高まる。

 田舎の離島石垣島への、大都市からの人の移動動機は、何か。そのいでたちの島での目立ち方は大きい。観光地としての看板を大きく掲げることで起こる現象は、いままでいいことが多く、受け入れる市民の意識は、好意的。

 しかし、新型コロナで想定できない事態が生まれている。那覇から400キロ離れた場所だけに、八重山の人々はあまりに不安だ。

 ANAは、すでに6月5日から金曜と日曜の週2便の羽田直行便を復活させており、この日から羽田便との午後の直行便が連日就航の完全復活となる。いわば、送り込む側は慣れてきている。

 しかし、東京の感染者数が、まだ増える傾向がみられる中で、自治体としての市は、議会での「尖閣の町名変更」などの強行採決傾向。議会空転そのままに、市民の多くは、「何もこんな時期に」と微妙な気持ちに耐えている。これは辺野古も同様といえる。

 分断の度合いを増す行為が、どうしてこうも簡単にできるのか。異常だ。

 島でのPCR検査も、空港ではできないことが判明し、発熱者対応は、市からのお願いに頼るばかり。警備員を多めに配置し、県警の警官が見守る中、しっかり監視する雰囲気はできているものの、それでも一部の東京の空気を帯びたままの人には、お願いは果たして通じるか。もともと発熱しない感染者はキャッチできないのだから。万全でもないのだった。

 しかし、島の経済を活性させる必要も否めない。第2次の感染を恐れれば、今のうちに稼ぐ必要がある。

 島内経済は、島の生産品を売ることが原則のはずが、島外の資本や人材、品物を使って、島外からの人の財布を当てにする形が、大半になっている現在の島経済。

 島の経済の幹は、農産物・水産物など、第一次産業を軸にしたものが、まず大事にされるのが筋。

 それが一次産業の危機的な状況を呼ぶ観光を、真っ先に進める事態は、冒険でもあろう。

 全国でワクチンの開発が待たれる中、経済の回復への舵きりが始まっている。感染者が出れば医療が崩壊する離島でなる八重山。

 島では観光客からの感染が起こらないように、島の中での郡民の手先消毒の励行。これにかかっている。

 ギリギリの営業と自粛で、冬場まで持たせて、次の2次感染に備える。なんとかワクチンができるところまで持ちこたえられれば、いいのだが、全世界で同様な、経済回復と感染阻止の狭間で厳しい状況が限りなく進んでいる中、一部の人の誤解から感染への警戒心が緩めば、先がないことは間違いない。

 19日からは、JTAも羽田便を就航。ピーチが成田便と関空便を飛ばすことに。

 19日から本土直行便が本格化することになる。拝む気持ちで見守りたい空港入客風景だ。

 なお7月1日は座席数390から400ほどある、ボーイング777型をANAは就航予定。7月、8月の定番の機材だという。
 7月22日からは福岡、名古屋、関空の直行便が復活するANA。22日から28日の期間のみ伊丹へも・・・。
 
 手洗い励行、消毒の徹底。マスクとソーシャルディスタンスを忘れない。できることはやろう。

 
(流杉一行)

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