新型コロナから縮小 明和大津波慰霊祭10人献花で

 4月24日午後3時から石垣市宮良のタフナー原にある明和大津波遭難者慰霊塔で令和2年度明和大津波遭難者慰霊祭が開催された。

 新型コロナウィルスの感染拡大が止まない中、同慰霊祭を例年代表献花する30名だけで開催を予定していたが、緊急事態宣言を受け、参加者を10名にし、代表献花者9名に絞っての開催となった。

 午後3時の時報とともに犠牲者への一分間の黙とうをささげた後、式辞に立った中山義隆市長は、慰霊の塔に向かい新型コロナウイルスの感染が世界中、日本中で感染し、島でも3名が感染したことで、今回縮小された慰霊祭になったことを報告。犠牲者に了承を求めたあとに、式辞を読み上げていた。

 代表者献花は、平良秀之石垣市議会議長、西大舛高旬八重山市長会副会長、新田長男竹富町議会議長、前田緑朗石垣島地方気象台長、宜野座葵沖縄県八重山事務所長、新里春教八重山在多良間郷友会会長、伊良部義一宮良公民館長、前盛善治白保公民館長、上間祐司大浜公民館長の9人。おのおの、白菊を手に献花台の前で捧げ、犠牲者への哀悼の意を尽くしていた。

 例年小中学生による作文朗読がおこなわれるところ、今回はパンフレット記載の作文を各自読んでもらうことで、省略されていた。

 今回の作文は白保中学校3年の上地亜利佐さんによる「今日の日をきっかけに」と題するもの。

 上地さんは自然・海の恩恵を受けながら営まれてきた白保村を紹介。

 250年前に海が「ひょう変」して大津波となって八重山を襲い、9000人あまりの人命が失われた。白保でも1546人が死亡・行方不明となり、死亡率98・2%、生存者は28名と、その惨状を「東日本大震災のような惨状だったのではないかと想像され、ただただ悲しみと脱力感が押し寄せてきました」と自然の恐ろしさに触れていた。

 上地さんは「現在、私たちは新型コロナウィルスという目に見えない大きな災害と向き合っています。」と、その感染者・死者の増加に無力感と悲しみを感じるとともに、いつ身近に来るか恐怖を感じていると作文で述べる。

「最後は私たち一人一人の節度ある行動が大切だ」として、「一日も早く、自然豊かな石垣島が戻ってくることを願っている」と今の状況に触れた後、これからコロナウィルス以外にも、猛暑、ゲリラ豪雨、台風などの天災も予想され、防災セット、避難経路、避難場所の確認などしっかり行い、どういった状況にも対応できるようにしておきたいと、締めくくっていた。

 この日、作文の朗読がなかったことは、実に惜しい思いがあるのは、新型コロナ一辺倒の危機意識を、もう一度再考して、島のありように関し、今後どうあるべきかを考えるきっかけに、なるかに思えるから。

  上地さんがいう「一人一人の節度ある行動」が、コロナだけでなく、大規模災害への備えに関しても有効に見えてくる。
 備蓄も避難経路確認も節度ある意識の延長に芽生える高い意識あってのもの。

 新型コロナウィルスなどの、経済活動さえ停止させられる新手の大規模自然災害に対抗できる力は、まず人類の高い意識からと考えると、なるほどと思わされる。これは、ある種、人類全体の課題にも見えてくる。

(流杉一行)
 

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