1月11日午前9時半から県立石垣青少年の家が主催する於茂登岳登山が行われ、集合場所の大本小学校に29名の参加者が集まった。
例年実施される正月の於茂登岳登山は人気で、この日も小学生から今年喜寿を迎える高齢者まで、老若男女が県内最高峰の於茂登山の登頂に立とうと、約2時間という短いコースながらしっかり登山装備していた。
一行は、登山道入り口へ車に分乗して移動。
冒頭、主催者の県立石垣青少年の家の宇保所長が「新元号初の正月を迎えて、県内最高峰の於茂登岳山頂に登って、一年の願をかけましょう」と挨拶。参加者皆で準備体操をした後、入り口に置かれた杖代わりになる棒を借りて出発。
この日は、登山道を行く途中で植物観察の説明を青少年の家職員の佐野清貴氏が担い、ゆっくりと山頂目指して登山を楽しんだ。
これまで、当イベントは雨天になって山頂からまったく展望が楽しめなかったこともあり、天候に左右されがちだったが、今回は幸運にも晴天が一日続いて、気持ちのいい登山となった。
参加者には一度も登ったこともない人も多く、3合目付近とされる土砂崩れポイント(滝の観察地点直前)で休憩をすると、少し音をあげる調子の人が多く見られていたが、急な坂が続く登山道はまだずっと終盤なのを考えると、まだこれからが本番。経験者も初心者を励ましながら、頂上への道を進んでいた。
いく先々では、カゴメランやヤブツバキ、エゴノキ、ヤブレガサ、ナガバイナモリなど、植物を紹介。
また、鳥の鳴き声に似たオオハナサキガエルの鳴き声にも耳をしますなど、登山を楽しみながら自然観察も実施。
途中、昔使われていたとされる炭焼き小屋も見学。昔の人が山深い場所に入って、生活に役立てるべく薪を集めて炭焼きをした歴史ある登山道の側面も学んでいた。
最後の給水ポイントとされる場所の少し手前では、佐野氏が浄水装置を披露して、防災用具を使った山頂近くでの水の試飲を勧めていた。
このポイントの後は、急坂が連続して、皆、黙々と登り続けた。数度休憩をしながら、全行程約2時間の於茂登岳山頂コースを参加者全員が踏破。山頂で全員の記念撮影をしたあと、皆持参した弁当を開いて昼食を楽しんだ。
主催者が用意したキャンプセットでお湯を用意。ぜんざいと甘酒を参加者にふるまって、山の山頂で温かい飲み物が提供され、参加者を喜ばせていた。疲れた体に温かい飲み物ほどありがたいものはない模様。
帰りは、下りの足に来る負担の厳しさを痛感しながら各自マイペースで下山。到着後は、感想などを書いて解散していた。
参加者の一人、前原洋子さんは「サキシマツツジやヤエヤマカンアオイなどがみられて、発見することも多く楽しかった」と、登山以外にも楽しめたことを喜んでいた。
中でも、今年で喜寿を迎えるという最高齢のМさんは、先頭をいく小学6年生たちとほぼ同じペースで登り、その健脚ぶりを披露していた。毎日8キロをウォーキングするというМさんは、時にはバンナ公園12キロコースも歩いて、日ごろから鍛錬を忘れない。高齢になって、万が一の時には自分でしっかり動ける体にしておくことが大切と思い、健康に注意しているとのこと。また、ゲートボールを楽しむ日は、一日1万2000歩は歩いているという。今回の登山は小さい頃以来の高齢での初挑戦とのこと。9日には長めのウオーキングでこの日に備えたという。来年も是非挑戦したいと、自信を深めてなお意欲的だ。
(流杉一行)