11月28日午前9時、石垣市川原橋に近い宮良川の土手沿いでカンムリワシの放鳥が行われた。
このカンムリワシは、今年8月30日に県道87号沿道で動けなくなっていたところを、近くを通った石井薫さん(35)が発見。
連絡を受けたカンムリワシリサーチが、たまよせ動物病院へ搬送。早急な石井さんの連絡で、早期治療の介あり回復。
9月24日から約2ヶ月間を沖縄県傷病野生鳥獣保護飼養ボランティア施設(やいま村ゲージ)で療養・リハビリし、野生復帰が可能と判断され、今回無事に放鳥が実現した。
令和元年のカンムリワシ交通事故件数は石垣島で7件。死亡が5件で放鳥は2件目。
環境省石垣自然保護官事務所の仲本光寿氏は
「この時期、なかでも1月2月3月は、カンムリワシの交通事故は多く、ドライバーには安全運転をお願いしたい」
と述べたほか、直線道路でのスピードの出し過ぎや、朝夕の通勤時間帯での運転にも注意を指摘していた。
石井さんは「カンムリワシの事故が多いというのは、カンムリワシリサーチのSNSで知っていたのですが、まさか自分が目の当たりにするとは思ってみませんでした。」
「最初、なんだろうなと思ってよく見たらカンムリワシだったので驚きました。動いていたのですが、動かなくなって死んじゃったと思ってショックだったんですが、後で元気になったと聞いて、うれしかったです。」と、3ヶ月前の発見当初を振り返った。
「救護してくれる人がいるのがうれしいですね」とも石井さん。実は「ココ」は平成21年11月にも保護されており、今回2度目の放鳥。
川原橋周辺を縄張りにするカンムリワシで、同年12月に「ココ」と愛称が付けられている。今回、「4」と記された黒の足輪を左脚に装着。
運搬用の箱から出された「ココ」は、ことのほか元気で、飼育を担当した渡久山恵さんの腕の中で暴れる一幕も。
放つと宮良川の見晴らしのよい対岸へ飛ぶと思いきや、西側の低い低木に移動。しばらく羽を日光に当てた後、見晴らしのよい木の枝に移動。
放鳥の直後から集まりはじめたオサハシブトガラスが4羽ほどが、「ココ」を取り巻いて牽制。やがてつつくものも出て、「ココ」も逆襲。
カラスが一羽であれば、一回り大きいカンムリワシだけに問題はないが、複数で襲ってくるカラスには、猛禽類ながら手を焼くカンムリワシ。これは普通に見かける光景でもある。この日、賢いカラスだけに「ココ」の病み上がりをいたぶって、様子を見る格好か。
渡久山さんによると、カラスがカンムリワシの死肉を食べるケースも出ており、カラスの凶暴化も最近聞かれているとのこと。カンムリワシの雛も襲われるケースもあるとも。
クジャクやキジと違って、このカラスはオサハシブトガラスと呼ばれる八重山だけに(与那国を除く)生息する種。もともとこんなに多くなく、昔は人を恐れて近づかなかったという。
人の出した生ゴミをあさるカラスが、いつしか人になれて、恐れなくなった。生ゴミをあさって増えたことで、人が生ゴミの管理をする。すると餌に困り、凶暴化つながることもあり得る。
【放鳥個体目撃時の連絡先】
カンムリワシリサーチ
(HP:http://kanmuriwasi.web.fc2.com)
(e-mail:yonnayonna470@gmail.com)
代表名 小林孝
【傷病および死亡個体発見時の連絡先】
<石垣島>
TEL:0980-82-4768(石垣自然保護官事務所)
TEL:0980-83-7269(石垣市教育委員会文化財課)
<西表島>
TEL:0980-84-7130(西表自然保護官事務所)
(流杉一行)