12本の海の宝石 GW前に水揚げで、地元でも購入可能に

 4月24日、八重山漁協が活況を呈したのは、12本のホンマグロが次々に水揚げされ、早朝から昼近くまで梱包と発送の作業に追われていたから。

 海の宝石といわれるホンマグロは、八重山では4月初旬から毎年漁獲されているが、ゴールデンウイーク(GW)までは、値段の高い本土の市場にほとんどが出されて、地元で賞味できる機会はない。

今季初水揚げの4月5日から20日足らずで14本程度の漁獲は標準的な水揚げで、そのまま推移と思いきや、24日に入った漁船4隻が計12本を水揚げ。突然の活況に、荷捌き上は沸き立った。

 この日のホンマグロの水揚げは宏徳丸3本(178キロ、144キロ、209キロ)、天心丸2本(172キロ、164キロ)、第一稜丸1本(160キロ)、日の丸6本(189キロ、157キロ、209キロ、243キロ、200キロ、211キロ)で、見事な巨体が荷捌き場に運び込まれて、漁協職員や運送関係者による梱包作業などで荷捌き場はごった返していた。

 高いときはキロ1万円もするとされる海の宝石クロマグロは、今季の実績は5000円が最高で、値段の低迷ムードだが、それでも見事なサイズの魚体を見る関係者の顔は、嬉しそう。

 ホンマグロは、この日の12本を含めてまだ八重山全体で26本の水揚げ。ただGW前に1日で2桁のホンマグロの水揚げは珍しく、この日、地元の鮮魚店へもホンマグロが売られることが決まり、GW中に地元で獲れたホンマグロが地元の鮮魚店で賞味可能となった。

 25日、午後3時から石垣市登野城の石垣島水産では、1000円以上から冊(さく)での販売となり、地元のホンマグロ通には、見逃せない朗報となった。

 なお今回4航海目となる日の丸の日野洋平船長は、
「最初の3航海で1本しか獲れてなかったので、(6本は)うれしい。制限が入っているので、今季はこれまで通りの漁はできないと思う。できるだけ大漁になるよう頑張りたい」と述べ、漁獲制限について記者が聞くと、本土で展開する30キロ以下の巻き網漁の漁獲枠に不平等を感じるとも答えていた。

今回、地元に回すことになったホンマグロについて、できれば本土に送りたかったと正直に話す船長。

毎回、GW前は真剣勝負の漁であれば、それだけ思い切った決断でもあり、地元には有難みも格別。

なお、
 4月25日午後3時から石垣市登野城の石垣島水産直売所で販売されたホンマグロは、販売開始から21分で完売され、ホンマグロの人気の高さが現れていた。

 販売15分前にはすでに40人以上が店内および店外と、長蛇の列が生まれていて、人気の高さを示していた。

 列に並ぶ人に何を見てホンマグロの販売を知ったかを聞くと、新聞やインターネットを見たという人もいるが、店が運用するフェイスブックを見たと応える人が多く、ネットの利用者の多さに脱帽といったところ。

 そのフェイスブックには、水揚げされたホンマグロの写真もアップされおり、なかなかリアルタイムな情報発信で顧客の心をつかんでいる模様。

 並んでいた男性に話を聞けば、「この日、たまたま休みだったので、ラッキーでした。普通買えません」と、ホンマグロの販売を喜んでいた。

 昼の3時に男性の購入者が多いのは、酒のつまみには最高のホンマグロでもあり、見逃せない人が多かったのもあるかも。

 ホンマグロが冷凍されない生のままの味は、まず賞味は普通できない。島で国内最高の晩酌ができた日といえるかも。


 
 (流杉一行)
 

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