4月19日午前10時から石垣島カラ岳南側斜面で、県立八重山農林高校全校生徒による毎年恒例の草刈り大会が開催され、250人が手に鎌、腰に荒縄を巻いて奮闘していた。
男子は3年50キロ、2年40キロ、1年30キロのノルマを課し、女子も3年30キロ2年25キロ1年20キロとそれぞれ目標が与えられ、達成目指して一日草刈りに集中するもの。
なおこの日、多く草を刈った人へ3人までが表彰されるほか、全学年を通してもっとも多く刈った人への最高賞の「金の鎌」贈られることになっている。であれば、体力に自信のある生徒には、気の抜けない一日となるのは必定。
開会式を済ませると、10時30分から一斉に各学年ごとの持ち場に分かれて、草刈りが始まった。
茅(ちがや)の多い山の中腹寄りに向かう生徒、すぐに刈り取り作業に取り掛かれ、草を運びやすい計量場所近くから取り掛かる生徒など、それぞれが工夫してノルマの達成に尽力。より多くの量を短時間で刈り取れるよう、ペース配分を加減しながら、草刈りに熱中していた。
3年生の下地奏太くん(17)は、「草を無心になって刈るとはかどります。部活のソフトテニスと同じで、無心にボールを追う要領でやることにしています。気分は最高ですね」と話していた。
また、2年生の嶺井ゆきのさん(16)は「鎌で草を刈るときに手に伝わる感触、手ごたえが気持ちいいです」と、手を休めず応えてくれた。
今回は、昨日の雨の影響もあり、草が水分を含んで重いのもあり、短い時間でノルマ達成する生徒もいて、快適な草刈りとなったもよう。
昨年は炎天下の草刈りとなり、乾いた草はなかなかノルマに届かず、草刈り中に倒れる生徒や、学校に戻ったあとにダウンする生徒も出て、亜熱帯八重山での日中の炎天下は非常に厳しいものを2年生や3年生は思い知っている。
今回は幸せなことに、開始から1時間後にはぱらついた雨が本降りになり、草も水を含んで重量がいくことで、早くに目標が達成できた生徒もいた。
また3年生男子の50キロノルマは、運びに重さが障害となり、加えて計量場所からの距離もあるなど、雨の滑りやすさもあって、厳しいものとなっていた。
しかし、昨年の炎天下より楽なようで、生徒同士「がんばろう」と、声を掛け合ったり、運ぶ草の多さにひっくり返る同級生を激励するなど、和気藹々で、笑顔も見られる草刈り大会となっていた。
八重山農林高校の草刈り大会は、全国の農業高校ではあまり見られない珍しいイベントで、農業に打ち込む生徒が粘り強さを鍛える大会であると同時に、一年間のたい肥や敷き草の原料となる茅を自ら刈って、学習に活用する一石二鳥の伝統行事。
この日は、同校同窓のPTAも参加し、同校の先輩として生徒らと交流もしながら、いっしょに草を刈るなどして、若い時代を思い出しつつ気持ちのいい汗を流す光景もあった。
生徒らが学年や教室の垣根を越え、ともに草を刈り、励ましあうなどし、また自分のペースでノルマを達成する自己コントロールに努めるなど、この日一日を、250人の生徒は充実した時間を過ごしていた。
(流杉一行)